いわきの暮らしのコラム
昔ながらのものに間違いはない
木下醸造元 木下 庄助さん

大正12年創業の木下醸造元。
いわき市神谷の田畑のなかに小さな蔵を構え、地域の健康づくりを担ってきた。
わたしたちの食卓は豊かになり、便利で手軽な量販品が広く流布するなか、
手づくりで手間のかかる田舎みそを作り続けている。
木下さんはなぜそこまで頑固に、昔ながらの製法にこだわるのだろうか。


代表の木下庄助さんに連れられて味噌蔵へ入る。
すると、甘さとしょっぱさが同居する、どこか懐かしい味噌の香りが漂ってくる。
年期の入った木製の味噌樽に至る所に、
この地で長くものづくりが行われてきたことを伺い知る痕跡を見つけることができる。

今は味噌汁を飲んだり、味噌漬けに使ったり、調味料だと思ってる人が多いだろ?
でも、もともと味噌っていうのは「おかず」でもあった。
肉をそんなに食べない時代だったからな。大事なタンパク源だったんだよ。
オレらが小さい頃は何にでも使った。家族も多かったから、一日に何キロも使うんだよ。
すると、樽で届ける味噌があっという間になくなって、毎日毎日配達してたな。
今じゃそんなに味噌を使うことは少なくなってるのかもしれないけど、
味噌は、もともと毎日食べても大丈夫なものなんだよ。健康食なんだから。

昔ながらの味噌は、じっくりと熟成させるため、味噌そのものの味が濃い。
だから、例えば味噌汁を作るときも、使う味噌の量は少なくて済む。
しかし、現在の量販品は、旨味が少ないため量を多めに入れないと風味が出てこない。
いかに「減塩」であっても、量をたくさん使ってしまえば、意味がなくなってしまう。

味噌を食べ過ぎて不健康になるなんて、おかしな話だよ。
大豆は畑の肉。タンパク質が多く含まれているし、
発酵によって栄養価はさらに高いものになってるからな。
だから本来の味噌というのは、毎日食べてもいい。
そして毎日食べるものだから、絶対「安全安心」じゃないといけないんだ。
子どもに毎日安心して食べさせられるもの。これを作り続けないといけない。
昔ながらの製法は、確かに手間も時間もかかる。
でも、安心して食べさせたいから、大変だけとそうやって作らなくちゃいけない。
それが食に携わるってことじゃないか?

 

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味噌づくりに頑固一徹の木下庄助さん。温かくも厳しい目で地域の食を見つめている。

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時代を感じさせる味噌蔵。蔵の中に住みついた天然の酵母が、ふくよかな熟成を促す。

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国内産の厳選された大豆のみを使用。天然の素材だけを使用するのは、食の安全を第一に考えるからこそ。

 

木下さんの味噌は、懐かしい味がする。食べ飽きず、どんな食材にも合う。
ともすれば、個性が際立ちにくいと言えるかもしれない。
しかし、その味噌を、野菜につけてみたり、鍋物に使ってみたり、
あるいは肉や魚を漬けてみるとよくわかる。
素材の味をまったく邪魔せず、むしろ素材のうまさを引き出すようなうまさなのだ。

いわきにはうまい野菜もコメもあるし、あとは新鮮な魚がとれる。
そういう地域の素材と味噌をうまく組み合わせれば、毎日そりゃうまい飯が食べられるよ。
魚の味噌漬けなんて最高だ。保存も利くし、いわきの生活に合ってるんじゃないかな。
たしかに味噌は主役って存在ではないかもしれないけれど、
いわきにはうまい食材がたくさんあるんだから、味噌が活躍する機会はたくさんあるよ。
とにかくきゅうりでももぎってきて、この味噌つけて食べてみな!

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木下さんの味噌。この緑のラベルを見つけたら、ぜひ一袋購入して味の違いを確かめて欲しい。

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いわき市神谷の木下醸造の店舗。味噌だけでなく、醤油やポン酢などの調味料が販売されている。

取材・文/小松理虔

 

○店舗情報○

合資会社 木下醸造元
住所:〒970-0101 いわき市平下神谷字西大苗代50
電話:0246-34-3082

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