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前回に引き続き、夏場に家の中で快適に過ごすコツについてのレクチャー②です。
今回は「日よけ」対策のあれこれをご紹介します。
高断熱高気密住宅は計画的な「日よけ」「通風」で夏も快適に過ごせます。
近年では窓に後付け出来る設備も充実してきています。

▶①はこちらから御覧ください。


1.すだれ用フックのデザイン
以前設計した、あぐりエコステーションという物件があります。木造平屋建ての事務所ですが、住まいの省エネ方法をPRするモデルハウス機能も持ち合わせていました。そのため、夏の日よけのために、「すだれ用常設フック」を設置しています。ステンレスの金物を設置しており、暖簾を掛けるように、すだれを設置できるようにしています。これは、ホームセンターなどで購入するすだれフックは金属の厚みが薄く、強風時などに折れ曲がることもあるので、強度の強い日よけフックをデザインした事例です。新築、リフォームどちらも設置可能です。


2.日よけ雨戸
既存サッシの上から設置できる日よけ雨戸があります。LIXILの雨戸一筋。雨戸ですがルーバー状になっており、通風を得ながら日よけ対策も可能な雨戸です。
以前エコリフォーム設計を行った、歩花ハウスへ設置した様子です。手前側は断熱雨戸で奥の2ヶ所に日よけ雨戸を設置しています。
室外と室内から見た様子です。ルーバーの角度は調整できます。外出時や夜間に、雨戸の鍵をかけて、窓を開け通風を得ることができます。


3.外付けブラインド

エコリフォーム歩花ハウスには、外付けの日よけブラインドも設置しました。こちらは、ルーバーが大きいので外壁より外枠が出る形になります。室内から手動でルーバーの開閉調整できます。製品によっては、電動で調整も可能です。

ルーバーの開閉具合です。ルーバーがしっかりしているので、台風などにも問題ない製品です。西日が当たる窓や南側の開口部を大きくとる場合などに設置すると、太陽の光と熱をコントロールするのに、良い建材です。防犯面でも有効です。予算や設置場所に応じて選択するのがおすすめです。


4.下屋日よけ
窓周りへ設置する、日よけのデザイン事例を紹介してきましたが、やはりいろいろ設置するとなると建設コストにも関わってきたり、住まい手による調整力も必要になる部分があります。コストを抑えて、自動(?)調整がいいとなると、屋根庇や開口部庇、1階の窓には下屋があります。日本の建物は庇が深い。もちろん、雨による建物の劣化を防ぐための機能が大きいのですが、日よけの機能もあります。

庇・下屋が深く、季節の太陽高度などを考えていれば、室内への太陽光をさえぎることができ、住まい手がなんら日よけのための作業をしなくてもすみます。建物の骨格自体でコントロールするデザインです。
現在、設計中のMAハウスの3Dモデルです。太陽が真南にある状態の影の様子です。下屋の影が1階の窓を覆っています。下屋は、下で物が干せたり、雨宿りできたり、日本の住まいの風景づくりにもつながります。実は、費用対効果が高いデザインかもしれません。


5. 緑のカーテン
①緑の日よけは日差しを遮る効果+αに期待!

「緑のカーテン」で夏の日差しを遮る方法もあります。窓の外に緑があると気分的にもよい感じがありますよね、花が咲いたり実がなったりと変化や収穫も楽しめます。緑のカーテンの利点として、植物が吸い上げた、水が葉から水蒸気として蒸発散されるので、涼しい日よけ。ということが言われてきました。しかし、最近の研究成果からは、擾発散ではそれほど温度が下がっていないという調査結果もあります。葉っぱがすだれなどと同等の日よけ効果で涼しくなるということのようです。しかし、緑の日よけは、日差しを遮る以外の効果もありますので、ぜひ、楽しみながら取り組んでいただければと思います。

②食べて味わう緑の日よけバリエーション

植物による日よけには、緑が見られて気分的にもよいこと。ゴーヤなどの実がなるものを植えれば、収穫し味わう楽しみもあるところが、他の日よけと異なり、楽しめる部分です。植物による日よけで、ゴーヤ以外に何があるだろうかというと、写真左側のように「カボチャ」もアリです。しかし、実がなると重いので支柱をしっかりした材料で作る必要があります。また、ゴーヤなどと異なり、緑の面をつくるためには、本数を多めに栽培する必要があります。

以前、町を歩いていて発見したのが右側の写真です。なんとプランタートマトが1階の屋根以上に育っています。トマトは、栽培してみるとわかるのですが、適度に選定しないと枝がどんどん分岐していきます。そのため放任栽培的な「ソバージュ栽培」という方法があるほどです。ソバージュ栽培で面的な緑のカーテンが作れそうです。

実を味わうことを計画し、種の購入からプランターやネットの準備をし、栽培・収穫、味わうのプロセスを楽しむのも緑の日よけの楽しみです。

③自然なコントロール広葉樹で日よけ

2軒の建物事例です。建物の窓外へツタ植物が絡まりやすいようなフレームがつくられています。そのおかげで、長い年月を経て育ったツタ植物が建物を覆うように育っていきます。夏は葉が日よけとなり、秋冬は葉が落ちて太陽光を室内へ入れます。植物によるある意味自動的な季節に応じた日射コントーロール方法です。住まいづくりの際に、ツタ植物の選定やからみつけるような仕掛けを設計する方法があります。庭づくりを楽しむ家づくりの場合は、ぜひ、日よけも一緒に考えてみては、いかがでしょうか?

 

6.日よけを考える家づくり
庇が深く窓格子のある住まい。夏を涼しく過ごすという視点から見直すと、昔からある伝統的な日本の住まいはすごいなと実感します。今の時代は、そこへ高断熱性能や各種設備機器も加わります。新旧様々な住まいの要素を活かすことがよりよい住まいづくりへつながります。住まいに庇をだすことは外壁や開口部の劣化を防ぐ役目もありますので、ぜひ、家づくりの際には高断熱化と共に「日よけ・庇・すだれフック・緑のカーテン」づくりも考えてみてください。


いわきは、冬場の太陽光が室内に入りすぎる!というぜいたくな悩みもあります。こちらは、暑さよりまぶしさへの配慮になりますが、すだれが設置しやすいと夏だけでなく冬も有効活用できます。日よけ設置は冬場も有効な場合があるのは、浜通りの特徴の一つだと思います。
「日よけの効果」というタイトルで、日よけに関する原稿を、「設計のための建築環境学 みつける・つくるバイオクライマティックデザイン」(彰国社)に書いています。そちらにも様々な事例なども紹介しておりますので、よろしければご覧ください。

環デザイン舎 北瀬幹哉