vol.2 理想の家を言葉で書き出す

K男さんの家づくりコラムvol.2

いわき家ナビの読者の皆さんこんにちは。昨年、夫婦で家を新築したK男です。前回からこちらいわき家ナビさんのスペースを借りて、家づくりのコラムを連載させて頂いています。今回が2回目。前回は「“家を見る”ことから始まる家づくり」について書きましたが、今回はその続きになります。

ニュータウンや住宅展示場などで家を見ると、おぼろげながら「自分はこういう家に住みたい」というイメージが湧いてくる、という話を前回しました。私たち夫婦が次のステップで行ったのが、住みたい家を「言葉で書き出す」こと。これ、思っているだけではなくて、書き出すことが大事なんだと思います。

希望を胸に抱くだけでなく「具体的に書き出す」ことで、自分が暮らしたい家の具体的なイメージができあがっていきますし、家づくりに意識的になれます。夫婦のコミュニケーションも円滑になりますし、いざ家づくりを始めようというとき、工務店さんや設計士さんとやりとりがスピーディーになり、より具体的なプランニングにつながります。

実際、私たち夫婦も、希望の家のスタイルや、その家で何がしたいかを紙に書き出して、2人で何度も擦り合わせをしました。実際書き出してみると、「コイツはきっとこういうのが好きだろう」みたいなイメージとは違う言葉が並んで、新たな発見に繋がりました。最初はあくまで希望でいいので、お互いに「どんな家に住みたいか」を書き出しながら、擦り合わせをしてみるとよいかもしれません。

 

例えば、私たち夫婦はこんな言葉が書き出されました。

●私の希望

木材をたっぷり使った家がいい
観葉植物をたくさん置きたい
フローリングにこだわりたい(こげ茶っぽい感じ)
ローコストだけでデザインがいい

●妻の希望
日当りがいいリビング
壁一面が飾り棚になっている、壁面収納をつけたい
照明はライティングレールが使いやすい
服と靴がたくさんしまえる

 

うむ。どうやら私は「木材がたっぷりでローコストであればよい」という傾向(単純)。なぜ木の家が好きかというと、当時少しアウトドアにかぶれてたということもあるのですが、木をふんだんにつかった家の雰囲気が単純に好きだから。住むほど味が出るし、観葉植物との相性も良いと考えました。

妻は、自分の持ち物がたっぷりしまえる「収納がある家」を希望していることがわかりました。妻は嫁入り時に信じられないほどの服と靴を持ち込んでいて、当時暮らしていたアパートですらしまいきれないほどのものがあったのですが、ちゃんと聞いたら「まだ実家にある」とか言うわけです。収納がたっぷりないといけない。

このほか、妻がライティングレールを希望したのは「レイアウトの自由度が高い」からとのこと。後になっていろいろと付け替えられるような家がいいと言うんですね。なるほど。「最初からあまり決め込まず、後からどうにでもなる家がいい」という妻の希望を私も共有できました。

日当りについては、1階部分の日当りがよくなかったため、手っ取り早く「2階にリビングのある家にするのはどうか」ということになりました。そうやってお互いに希望をすりあわせていくと、具体的な家のイメージがどんどん湧いてきます。予算とか、条件とか、何年ローンとか、最初からお金の話をすると可能性がどんどん狭くなってしまうので、最初は予算は度外視でやってみるとよいかも。とにかく自分の好きなものとか、自分が住みたい家を言葉にしていくことが大事だと思います。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA住宅や建築系の雑誌や情報サイトに行くと、面白い家がたくさん紹介されています。希望を書き出す際の参考に。

 

—できるかぎり希望を言葉にしておく

今振り返っても、やはり「書き出して」おいてよかったなと思っています。どんな点がよかったかというと、繰り返しになりますが、①設計士の先生が希望をデザインに落とし込みやすい、②夫婦の意見の擦り合わせができコミュニケーションがスムーズになる、というこの2点。

まず1点目。設計士の先生が希望をデザインに落とし込みやすい、というのは、例えば、設計事務所に行って、「家をつくりたいんですが、どういう家にしたいかはよくわかりません」というのでは設計士の先生も困ってしまいますよね。ぼんやりとしたイメージしかないと、デザインが出てくるまでに時間がかかってしまうかもしれません。

後になって、家づくりをお願いした建築設計士の方から「小松さんは希望を言葉にしてくれていたので、図面に落とし込みやすかった」と言って頂きました。やはり、希望の書き出しは有効だと思いますし、最初に希望を書き出しておけば、予算の都合でコストダウンすることになっても、後になって「あれ聞いておけばよかったな」という後悔もなくなります。

つまり「納得して家づくりを進められる」ことにつながるんですね。

 

—とても重要な夫婦間の意見の摺り合わせ

それから2番目のポイントですが、要は夫婦間の意見の擦り合わせがとても大事だということです。家が完成するまでずっとそうなのですが、特に初期の段階でコミュニケーションをすっ飛ばしてしまうと、後々修正がきかなくなるし、禍根を残すことになります。

さきほど、私と妻の希望を書き出してみましたが、書き出してみて初めて、私は「見た目」を重視し、妻は「機能性や使いやすさ」を重視していることがわかりました。こういう「夫婦の目線の違い」って、確認しておかないとどんどんズレちゃうものなんです。私もそうだったのですが、往々にして「おれはこんな家になると思ってなかった」とか、「言った言ってない」の問題になりがち。夫婦でも揉めないために、ちゃんと希望を言葉にしておこうというわけです。

予算などで揉めてピリピリしているときに、こういう問題がぶり返されると、確実に夫婦の関係に絶妙に傷がつきます(汗)。新居というのはこれから愛を育む場所なのに、その場所を作るのに夫婦の関係が悪くなってしまったら本末転倒じゃないですか。知らない、聞いてない、相談してない、そんな言葉が出てこないよう、意思疎通はしっかりしておいたほうがよい、そのためには「書き出しておこう」というのが私たちの得た教訓です。

 

前回からの内容をふまえ、まとめに入ります。

家づくり始める前にこれだけはしておきたいことK男編

①近くの住宅地を回ってお気に入りの家を探してみる
②住宅展示場に行って実際の家を見てみる
③雑誌やインターネットサイトのスクラップを作る
④具体的に言葉に書き出してみる

そして、これら①〜④をやったうえで工務店や設計事務所を訪ねてみるのがいいと思います。ある程度好みのスタイルが伝わっていれば、その後の内装や住宅設備などの選定にじっくりと時間を使えます。希望を言葉に! ぜひ意識してみてください。

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