vol.6 我が家の「エコキュート」の使い心地

家のプランニングを進める上で、自分たちで決めなければならないことは数多くあります。すんなり決まるものもあれば、意外と時間がかかっちゃうものものあることでしょう。私たちの場合、間取りについては、希望するライフスタイルを前もって伝えていたこともありスムーズに決まったのですが、「給湯方法」については色々と悩まされました。

給湯方法の何が悩ましいかというと、給湯方法が複数ある上に、それぞれにメリット/デメリットがあるため、すぐに比較ができないということ。そして、何しろ家づくりが初めてなので、よくわからないということ。電気にするかガスにするか、電気ならエコキュートにするか電気温水器にするかなどなど、「いやあ、そんなこと言われてもよくわからないよなあ」というのが正直なところでした。

というのも、私の暮らす小名浜地区には、もともと「配湯」というシステムがあって、工場の廃熱を使って水を温め、近隣の住民に配管を通してお湯を供給していたのです。湯沸かし器と呼べるようなものは家になく、蛇口を捻ればお湯が出て来たので、そもそも給湯方法について考えたこともない。震災によって配管がガタガタになり修復できないということで、それぞれ各世帯で給湯システムをつけることになり、そして私はそのタイミングで家を作ることになったわけです。

給湯方法を決めるにあたって、業者さんに聞かれたことが「台所をガスにしたいか」ということでした。台所をガスにするには、都市ガスかプロパンか、ガスを導入しなければならず、湯沸かし方法もガスを使ったほうが効率がよくなるので、まずは台所をどうするか決めましょうということでした。私は自分でも料理をするし、料理をするなら火力の強いのがよいので、プランニング当初は「厨房はガスにしたい」と話していました。

ところがIHのクッキングヒーターも火力が強く、炒めものにも問題なし。タイマーなどがついていて長時間の調理も楽だし、しかもヒーター部分に何かが載せられていないとスイッチが入らないため、小さな子どもがいるご家庭などでも安心して使えるということがわかってきました。

それで心がグラついてしまい、最終的には「IH」ということに。すると、台所が電気なのだから「オール電化」にしたほうが効率もよく、夜間電気などを使えば電気代もおさえられるということになり、結局我が家は「エコキュート」でお湯を作ることになりました。

確かに、実際IHを使っていて不自由を感じることはありません。火力が命の炒め物も問題なく作れますし、揚げ物は温度調整が簡単なので非常に楽。ガスレンジの頃より揚げものを作る回数が増えました。布一枚でサッと拭けばよいので掃除もラクだし、最近ではIH対応の鍋やフライパンが増えているので、調理にも不自由はしません。問題があるとすれば、ガスレンジ特有の「チッチッチッチ、ボッ!」という音がないので、料理を作っている感じが減ること。趣がないというか、テンションがあがらない感じはあります。

 

—エコキュートはこまめな設定変更が肝要

オール電化住宅。エコキュートは、使い方がちょっと難しいように感じています。特段大きな問題があるわけではないのですが、冬の時期にはどうしてもお湯が足りなってしまうんです。私はお風呂に入るのが一番後なので、私が入る頃には、すでにお湯の残量がかなり減っていて、下手をすると足し湯できずに生温い風呂に入らされることもあります。4人で暮らしても充分なサイズのエコキュートのはずなんですが、、、。

足りなくなれば焚き増しすればよいのですが、オール電化住宅の場合、電力会社との契約時に「夜間電力が安い契約タイプ」にする方が多く(我が家もそう)、昼間に焚き増しすると電気代が高いんですよね。どうせ私は昼間は仕事で家にいないし、使い切ったお湯は夜間の安い電力で補充すれば良いと思っていたのですが、なかなか予定通りにはいかないものです。

ですから、電気の契約やお湯の炊き方を、ライフスタイルや習慣に合わせて柔軟に変えていくことが大事。「機械に合わせる」のではなく、「私たちの暮らしに合わせる」必要があるということです。最近だと、「電力自由化」もあり、色々な会社が様々な料金体系で電気を供給していますが、自分のライフスタイルに合わせ、料金体系なども詳しく情報収集した上で、その都度選択していくことが求められます。

エコキュートは、その人のお湯の使い方をコンピューターが記憶し、その習慣に合うようにお湯を作ってくれる機能が備わっています。しかし、設定方法を知らないと、いつまでも「夜間焚き増し」モードになっていたりするんですね。キッチンにしてもお風呂にしても、自宅の設備を使いこなすため、説明書を良く読んで、こまめに設定変更をしていくことが求められます。

あとは、例えば「最初から適温の42度のお湯を張る」のと、「50度のお湯を張って水を入れて温度を下げる」のでは、消費するお湯の量も違います。お湯の使い方、溜め方を工夫することで、日々の電気料金にも違いが出て来ます。

ガスか電気か、という給湯「方法」については、設計する業者さんの推薦する方法で進めるのがよいと思います。家の特性や特徴に合わせ、あるいは設計などに合わせて、業者さんが最適の湯沸かし器を提案してくれるはずです。しかし、ランニングコストを落としても、使いこなせずに日々の公共料金で損をしては本末転倒です。むしろ大事なのは、ライフスタイルに合わせて「使いこなす」ことかもしれません。

※エコキュートを導入する場合には設置場所には注意しましょう。お湯を焚くときの音と振動がバカになりません。我が家ではお部屋のすぐ脇に作ってしまったので、騒音がけっこう大きいです。自宅のコンクリート基礎と、エコキュートを置く場所のコンクリート基礎は、しっかり分けるようにしたほうがよいです。余談。

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