第2話 2020年省エネ義務化②「住まいの省エネ力」

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■住まいの省エネ力は、断熱力+設備力+日射熱取得力で評価します

エコカーの省エネ性能を評価する指標の一つにリッターあたり何km走るかという基準があり、その数値や計算プログラムなどを操作して話題になっています。住宅の省エネ性能評価は、国や国の基準にのっとった機関が提供する計算プログラムを利用して、住宅の省エネ性能を評価することになっています。だから、利用する建材などの性能値の入力を間違えなければ、きちんとした値が導き出されます。プログラムをご覧になりたい方は、国立研究開発法人建築研究所のHPをご覧ください(http://www.kenken.go.jp/becc/index.html)。

2013年に改正された改正省エネ基準は、今まで住宅の外皮断熱性能のみで省エネ性能を評価していたのを、より外皮断熱性能を詳しく評価し、かつ設備機器等の省エネ性能や日射熱取得力も加えた総合評価をしますという変化が大きなポイントでした。
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■設備力とエネルギーの単位

省エネ基準の改正前は、住宅の省エネ性能評価をする際に設備の省エネ性能は評価項目に含まれていませんでした。しかし、平成25年に改正された基準では、暖冷房、換気、照明、給湯、昇降機(共同住宅が対象)の省エネ性能も含めて評価することになりました。

住まいづくりの際に選ぶのによく悩まれる、冷暖房機器や給湯機等の省エネ性能のことです。水道の蛇口は、デザインで選ばれる方が多いと思いますが、お湯を使う蛇口の省エネ性能は、実は、省エネ評価に大きく影響を与えます。お風呂は毎日使われることが多いので、それだけ省エネ性能へも影響を与えます。今後、設備に関する省エネ等のことも書いていきますが、住まいづくりで選ぶ設備機器も省エネ性能評価に関わっていることをご理解いただきたいと思います。
設備機器を選ぶと、そのエネルギー源は、電気やガス、灯油など様々です。これらを2次エネルギーといいます。2次エネルギーはそれぞれ単位などが異なるので、そろえて評価するため、化石燃料や原子力、自然エネルギーという大元のエネルギー源である1次エネルギーの消費量で評価することになっています。だから、家ごとにどのような設備機器や熱源、断熱材、サッシを利用しても同等な評価が可能です。

 

■断熱力と日射熱取得力

enecon3住まいの外皮である断熱材やサッシの断熱力と庇やサッシの日射熱所得力も省エネ性能評価の項目です。省エネ基準の改正前後で大きく異なるのは、改正前は、床面積で評価していたのを、改正後は外皮表面積で評価するようになり、より住まいの形状に応じた評価が可能になったことです。
断熱材やサッシの断熱性能については、予算的に可能であればできるだけ性能を高くすることをお勧めします。住まいのインテリアデザインにあまり関係ない部分のため、家づくりをしているときに、予算が削られやすい部分です。断熱性能が高いということは、省エネ力の基礎体力が高いということになり、冷房や暖房、給湯などの消費エネルギーが削減されます。そして、生活していても寒すぎず暑すぎず快適な度合いが高まります。

もうひとつの評価項目として、日射熱をどのくらい室内へ取り込むか、それにより夏の冷房や冬の暖房の負荷が変わるかということも評価軸としてあります。年間を通して晴れ間が多い浜通りでは、南に面して開口部をとり、冬季は太陽熱をたくさん室内へとり入れれば、冬の日中は暖房負荷が減ることも省エネとして評価しますよということです。また、これからの季節、夏は、すだれ等を窓の外へ設置して、暑い日差しを室内へ入れないことで冷房負荷が減ることも省エネになります。

省エネ評価の要素解説は、少し専門的だったかもしれません。家づくりが始まると、どのような建材や設備にするか決めることになります。その際に、断熱材、サッシ、設備機器を選ぶときの視点として、省エネ性能の高さを確認して決めるということも必要になります。選ぶものがそれぞれ、これからの省エネ義務化の評価項目になります。義務といわれると、縛られる感じもしますが、毎日の生活が、夏涼しく冬温かな快適性の向上や光熱費の削減にもつながりますので、省エネの視点でのモノ選びも意識していただけると、よりよい家づくりにつながります。どのモノがどれくらいの性能とコストで、建設コスト内に収まるかどうかは、工務店や設計者に確認してもらいながら進めることがお勧めです。

(図版:国土交通省住宅局:住宅・建築物の省エネルギー基準平成25年改正のポイントパンフレットより)

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いわきの工務店の省エネ対応力はどれくらい?というご質問がありましたので、いわき家ナビ工務店は、普段どれくらいの性能建材等を利用し省エネ化を図っているかを次回お伝えします。

環デザイン舎 北瀬幹哉

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