■いわき家ナビ工務店の力
メールで、家ナビ工務店の省エネ義務化への対応力についてお問い合わせいただきました。
工務店の対応力の考え方として、現時点での省エネ義務化の際に求められる断熱性能を確保できる施工技術があるかどうかを確認することにします。そのために、工務店が普段利用している断熱材とサッシの品名を調査しました。断熱材とサッシの仕様がわかっていると、省エネ計算プログラムの外皮の省エネ基準をクリアーできるかどうかを確認することができるからです。各工務店が普段利用している断熱材とサッシをプログラムへ入れた結果がOKであれば、省エネ義務化対応できていると言えると考えられます。もちろん、設備機器や日射遮蔽等も関連するのですが、設備機器は選び方、日射遮蔽は庇等の作り方やサッシの選び方になるので、今回の工務店施工力とは考えず、今後のコラムで選び方や考え方のコツとしてお伝えしていきます。
今回調査にご協力いただいた家ナビ工務店は、後田工務所、木樂工房、KD設計、サラサホーム茨城北、サラサホームいわき南、鐡庄工務店、創心すまい、ネクストホーム、ライフデザイン(五十音順、敬称略)の9社です。
■白い断熱材がよく使われています
断熱材は、比較しやすいように壁断熱材の比較でお伝えします。断熱性能の高い順番です。
各工務店では、物件ごとに使い分けていることもあると思いますが、9社中5社が、No.2の旭ファイバーグラスのアクリアネクストを採用していました。白い断熱材です。コスト、性能、施工のしやすさなどから採用率が高いことが伺えます。ちなみに、No.1は吹き付け断熱材です。No6.は外張り(外断熱)用の断熱材です。
■樹脂アルミ複合サッシが人気です
サッシは、枠の部分とガラスの組み合わせにより断熱性能が異なります。断熱性能の高い順番です。
サッシは、1社の工務店でも複数種利用している場合もありました。サッシ性能によりコストも変わるため、物件ごとに選定していることが伺えます。中でも、No.2のYKKAPのAPW330は7社中5社が採用しており人気があります。
■外皮熱貫流率UA値の検証
外皮熱貫流率UA値は、住まいの断熱性能を確認する指標で、今までの熱損失係数Q値に変わる値です。UA値は、小さいほど断熱性能が高いことを示しています。いわき、浜通りは、省エネ基準で5地域に分類されており、UA値の基準が0.87以下であることが求められています。
家ナビ工務店が普段利用している、断熱材とサッシでUA値をクリアーできるのかどうかを確認してみました。
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UA値を検証するために、モデルとなる家が必要になります。住まいの相談会では、新築2階建て35坪モデルを紹介しています。35坪モデルは、名前の通り35坪の住宅でシンプルなプランとし、骨組みの中で住まい方によりプランを変更しやすく、建設コストの目安もわかるモデルです。ベースとなるモデルから、住まい手さんにイメージを膨らませていただいています。
工務店の中でもっともよく利用されているモノの組み合わせと、充填断熱の中では熱抵抗値が低いものとサッシの性能低いものを組み合わせた2パターンを検証しました。省エネ性能は、断熱力+設備力+日射熱取得力とお伝えした通り、複合的な住まいの省エネ力で評価するのですが、UA値が基準の0.87以下なので断熱性能の基準はクリアーしていることが分かりました。2020年省エネ義務化へ向けて、
いわき家ナビ工務店9社の断熱性能施工力は現在の段階においても大丈夫ですよ!
ということがいえます。
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義務化、といわれると不安になる部分もありますが、現況や情報を整理してみると安心できますね。断熱性能基準がクリアーできているなら、建設コスト抑えるためにUA値が大きいもの(断熱性能低いもの)でもいいという考え方もあります。しかし、快適性や光熱費の視点で考えると、もちろんUA値が小さいもののほうがお勧めです。あとは、家づくりの予算の中で、バランスをとりどのあたりの商品を採用するか決めることが必要になります。家づくりを始めると、決めることが多くて悩まれることがあると思います。そんなときの、決め方のコツを次回はご紹介したいと思います。
※改正省エネ義務化に関する情報は、日々更新されています。国土交通省のHPをご確認いただくことがおすすめです。平成28年3月31日づけで、地域の気候風土に対応した伝統的工法の住宅に関しては、一次消費エネルギー基準が緩和されることが技術的助言として発表されています。
環デザイン舎 北瀬幹哉