第10話 夏も快適に!「日よけ」のデザイン①

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冬温かく快適な住まいづくりのために、断熱性能の必要性や断熱方法などをコラムで紹介してきました。逆に、高断熱化した住まいは、夏は暑くなって不快ではないの?という疑問もでてきます。今回は、暑さをさえぎる「日よけ」をテーマに、夏を快適に過ごすための住まいの「涼環境づくり」の考え方を紹介していきます。


1.高断熱北海道住宅にお盆に帰るのが恐怖です

私の実家は札幌にあり、毎年お盆に帰省しています。よく、北海道帰省は涼しくていいですね!といわれますが、室内猛暑に恐怖しながら帰省しています。室内猛暑というのは、実家は築30年以上の高断熱住宅ですが、クーラーがなく、すだれなどを設置しないため、日中の暑さが室内にこもり夜になっても室内が暑い状態なのです。もちろん、夜の外気温度は涼しくなるのですが、日中にこもった熱が断熱材などにも蓄積されているのではないかと感じるほど日中の熱が逃げないのです。

こちら、札幌市内の住宅の様子です。北海道住宅は、冬対応優先の住まいの形です。隣地に屋根の雪を落とさないために落雪しない屋根のため庇はなく、庇があったとしても出幅は小さいのが特徴です。そのため、夏が涼しく暑い期間が短いこともあり、夏の日差しを遮る形はあまりみかけません。そのため、夏の日差しが室内に入りやすい構造になっています。特に普段利用率が低い、2階の部屋を閉め切ったまま、日中の日射を室内へ取り込んでしまうと、室内猛暑現象になることがあります。しかし、北海道では暑くて寝られない期間というのはいわきに比べ短いので、それほど日よけのニーズが高まらないということはあります。

2.暑い日差しは屋外でシャットアウトが原則です 

高断熱住宅で夏涼しく過ごすためには、夏の日差しを遮り室内へ入れないことが大切です!

日差しを遮るのならレースカーテンでよいのでしょうか?実は、日差しは室内ではなく室外で防ぐのが効果的です。日射遮蔽性のグラフとイメージ図をご覧いただくとわかるように、すだれなどにより熱を屋外で遮ることで、室内へ入る熱が約1/5に減るのです。

昔から利用されているすだれが有効であること、近年一般的になってきた緑のカーテンが夏にはよいことが分かります。


3.夏の暑さは遮り、涼しさを保持することが理想です

冬に快適に過ごせる高断熱住宅に夏はすだれをつけておけば涼しくなるかというと、日中と夜間それぞれの住みこなし方も必要です。

日中:すだれなどで日差しを遮り、冷房を微弱継続運転。もしくは、窓を開けずに夜間等に蓄えた涼しさを有効活用する。

夜間:窓を開け、外の涼しい冷気を取り込む。そのために、窓格子や高窓などがあると便利です。

日よけを設置し、夜間の外気やエアコンなどの冷気を高断熱で有効活用すること。この2点が夏の高断熱住宅を涼しく過ごすためのコツになります。では、住まいづくりの時に、どのようなデザイン等を考えておくと夏の涼しさづくりにつながるのか様々な事例を紹介します。


4.ドイツの日よけ

住まいの環境性能に魅力を感じ学び出したころ、ドイツには先進的な事例があることを知り、見学に行きました。
ドイツといえどもすべてが環境配慮建物ということはありませんが、割合は多く感じます。日よけの建材パーツや各種デザインが目につきます。
建物の外部に日よけのブラインドや庇、格子戸など様々なデザインや建材があることが分かります。オフィスビルや共同住宅、戸建て住宅と様々な種類の建物に一般的に設置されていることがさすがだなと実感しました。

5.オーストラリアの日よけ
以前、オーストラリアへ行きました。その際、Christie Walktというエコ団地があったので見学したときの写真がこちら。

すだれ使っていたりします。緑のカーテン的な部分もあります。
オーストラリアは、行ってみてわかるのが、日差しが強い!ということ。
それゆえに、昔からありそうな建物のつくりの特徴として庇や下屋がついている建物をよく目にしました。

 


実際にどんな「日よけ」対策があるのか、実例は次回②でお伝えします。

 

環デザイン舎 北瀬幹哉

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