こんにちは。今回から家ナビ新人編集部員となりました、いわき市小名浜生まれのヒップホップ育ち、ヒデミです。高校卒業と同時にいわきを飛び出し、日本をも飛び出すことが増え、様々な国の窓から世界を見ることが増えました。「世界の窓からこんにちは」。ここでは、2年ほど暮らしたニューヨークのことをはじめ、旅先で気になったあれこれを、どうでもいい小ネタを交えながらお伝えしていきたいと思います。皆様、どうぞよろしくお願いします。
冬のニューヨークは「マジで寒い」。
ニューヨーカーが口々に言う「冬はニューヨークを抜け出して西海岸に行くよ」「寒すぎて住むところじゃないわ!」。青森と同じぐらいの緯度に位置するニューヨークの冬は、体感温度マイナス10℃を記録するぐらい寒い上に大雪が降る。「サンシャインいわき」と呼ばれる温暖な気候のいわき市沿岸で育った私は、冬に弱く、雪にも弱い。私はただただ怯えていた。冬の訪れを。
「ひざ下まである極暖のダウンジャケット」「スノーブーツ」「耳あて」。真冬の必須アイテムを揃えるべく、私はマンハッタンの街を歩き回った。恐ろしいほど寒い冬は、本当にくるのだろうか、、、冬に気をつけろ!という声を多数耳にするも半信半疑の私は、「ひざ下まである極暖ダウンジャケット(フードにはモサモサ付き)」をひとまずゲット。怯えに怯え日本から持ち込んだヒートテック上下も引っ張り出し、みんなが言う「冬」が来るのを待った。
冬がきた。
、、、冬、きた?
温暖化の影響か、思っていたより暖かい。とはいえ、季節は12月。厚手のダウンを羽織り完全防寒の人がいる。かと思えば、Tシャツにアディダス3本ラインジャージを着こなす少年もいる。これぞニューヨーク。
通年より暖かいとはいえ、朝と夜は0℃前後まで冷え込む。
しかし冬のニューヨークの室内は、実は暑い。マジで暑い。ニューヨークの一般的な建物はセントラルヒーティング(建物の一か所に設けた熱源装置から各部屋に熱を送る)になっていて、ある程度まで気温が下がると、大家さんが暖房をオンにせねばならぬ決まりとなっている。暖房がオンにされたのを知り、冬の訪れを知ることとなる。
この暖房が強力で、室内は真夏のような暑さになる。真冬でも、家では半そで短パン。冷えたビールを冷蔵庫から取り出し、ルームメイトと何度も乾杯をしたものだ。日本から持ち込んだ冬用あったかパジャマが、陽の目を見る日は、ついに来なかった。
右側にあるリモアのスーツケースのような物体がセントラルヒーティング。各部屋に備え付けられている。
ものすごく気温が下がったある夜。
私は夢にまでみた、あれをやってみることにした。寒い地域に住む人たちがやるという”濡れたタオルを振り回すと凍る”というやつを。心躍らせながら濡れたタオルを持ち外へ出た。タオルは、一瞬にしてカチコチになった。もっといけるんじゃない?と、今度は濡らした大量の洋服たちを外へ持ち出してみると、こうなった。
最後には、自分たちも凍りそうだったので、私たちは凍った洋服を運び入れたが、洋服たちはしばらく健在だった。
そして今、冬を迎えたいわきで思うこと。
真冬のニューヨークより、いわきの実家の方がめちゃくちゃ寒い!
45年ぐらい前に建てられた実家はむかしながらの木造で、おそらく断熱材とやらは入っておらず、あたたかな空気が外に逃げ、窓を閉めているのにキリっと冷たい空気が隙間から入り込み、部屋の中で循環している。寒がりの父は、部屋の中でもバッチリダウンジャケットでキメている。
外にいるより、家の中が寒いなんて…
世界に出てみてはじめて日本人の忍耐強さ(?)を知ったのであった。
文・写真:Hidemi Miyamoto
いわき市小名浜生まれ。いわき、東京、ときどき海外。音楽業界での経験を活かし、エンタメは元より地域から福祉、教育までジャンルをまたいでコミュニケーションを生み出すプランナー。2011年、東日本大震災後に地域活性化団体「MUSUBU」を設立。2017年夏、2年間のニューヨーク生活を経て帰国。海と魚がある暮らしを楽しみ育む「umiiku」代表。無類のサッカー好き。 http://musubu.me