この1年で、韓国に6回ほど足を運んでいる。縁あって、韓国の同世代とつながり、講演会にお呼ばれしたり、ソウルの若者のいわき視察をサポートしたり、自分の誕生日パーティーを、「漢江(ハンガン)」(ソウルを東西に横切る川)で開催してみたり、初めてのサーフィンを韓国の東海岸でやってみたり。なんだか急に親しくなった。時差もなく、気候も似ている。飛行機でも2時間と少し。国内を旅するのと同じような感覚で、するっと行ける近くの海外。食べ始めたら箸が止まらぬ旨辛韓国料理はもちろん、建築、施設、カルチャーも面白い。書ききれないほどある、韓国話の中から、今回は韓国のカフェ事情についてお伝えしようと思う。

ソウルには、おそろしいほどたくさんのカフェがある。目を瞑って歩いてもカフェに辿り着きそうなエリアもある。ある調べでは、ソウル市内には17,000店(!!!)以上のカフェが存在しているらしい。友人曰く「起業といえばカフェ」というぐらい、カフェ文化は韓国の日常と密接のようだ(韓国のお仕事事情もそこにはあるらしい)。ソウルにいると、とにかく休憩や仕事場所に困らない。どこにいてもカフェに出会える。お馴染みのスターバックスや韓国発のチェーン店「ATTWOSOME PLACE」「EDIYA COFFEE」「HOLL’S COFFEE」はもちろん、今どきなインスタ映えしまくりのカフェや美術館のようなカフェ、個人経営の小さなお店まで、個性溢れるカフェがあちこちの点在しているのだ。カフェだけでなく小さなまちの食堂ですらwifi環境ばっちりだったりするので、そのあたりは言うことがない。しかもかなり遅くまで営業している店もある。ソウル滞在での楽しみのひとつが、新しいカフェの開拓だ。その中でも、最近の私のお気に入りをご紹介したいと思う。


1.Yeonnambangagan(延南洞)

ここはギャラリー?本屋?カフェ?よく見ると食べ物も売っている。ソウルの渋谷・弘大の隣に位置する延南洞(ヨンナムドン)にあるYeonnambangaganは、整った歴史あるホテルのような内装に今が絶妙にまじわり、新しい。最近のソウルトレンドを体感するならば、こちらへ。


2.ZAPANGI (望遠洞)

超インスタ映え!個人経営の出店が相次いでいる注目エリア「望遠洞(マンウォンドウ)」の中でも、店の前で写メを撮る若者で溢れているのはこの店がダントツ1位。ピンクの自動販売機が、入口のドアなので。アイディア!

3.cafe onion(聖水洞)

工場や倉庫が集まる工業地帯だったエリアに、クリエイターやおしゃれなカフェやレストランが進出し、若者が足を運ぶ場所になったエリア「聖水洞(ソンスドン)」。ソウルのブルックリン!とも呼ばれるこのエリアで、café onionは必ず名前があがるスポット。寒々しいぐらいコンクリートやレンガがむきだしだが、それがまたかっこよく味がある。工場だった建物をそのまま生かした空間が若者に大人気。迷路のような建物は、テラス席もありかくれんぼができそうなぐらい広い。テラスのある2階では人気のパン屋「BREAD05」が。

4.Anthracite COFFEE ROASTERS(梨泰院、西橋洞)
世界各地から仕入れたこだわりの豆と自家焙煎にこだわった珈琲と魅力あふれるスタイリッシュな空間がたまらないAnthracite COFFEE ROASTERSは、間違いない。ソウル市内には、望遠洞、弘大、梨泰院に店を構えるが、私のおすすめは、梨泰院(イテウォン)と西橋洞(ソギョドン)にある同店。

▶梨泰院店

古い建物の3フロアまるごと利用した梨泰院店。植物に溢れた2階は心地もいいし気持ちがいい。

▶望遠洞店

静かに、ただ静かに過ごしたい人にはここがおすすめだ。贅沢に使われたスペースが、心にも余裕をもたらしてくれる。パソコンよりも本を持ち込みたくなる店。

5.Haenghwatang (麻浦区)
1967年から45年間町の憩いの場として地域住民に親しまれた銭湯を改装して造られた文化芸術空間。広々とした銭湯空間ギャラリーと共に、カフェでまったり過ごせる。メニューがタオルに印刷されているところが銭湯的で◎。

この間にもソウルには、新しいスタイルのカフェが日々続々と増えているだろう。歴史ある建物をリノベーションしたもの、現代社会の流れにあわせこれまでとまったく新しいアプローチで展開するお店。それらの動きは、いわきにもたくさんある空き店舗や空き家の活用はもちろん、あらゆる事柄で大事な要素となる”発想の転換”のヒントが無数に隠されているように思う。スクラップ・アンド・ビルドではなく、まちにあるものを、そのままに。そして新しく。拠点が欲しくてたまらない私は、そのヒントを元に、いつかいわきの海側あたりに、古くて新しい”いわきスタイル”的空間を生み出してみたいなと、密かに思い続けている。

 


文・写真:Hidemi Miyamoto

いわき市小名浜生まれ。いわき、東京、ときどき海外。音楽業界での経験を活かし、エンタメは元より地域から福祉、教育までジャンルをまたいでコミュニケーションを生み出すプランナー。2011年、東日本大震災後に地域活性化団体「MUSUBU」を設立。いわき市内外で様々なプロジェクトを行う。2017年夏、2年間のニューヨーク生活を経て帰国。海と魚がある暮らしを楽しみ育む「umiiku」代表。無類のサッカー好き。http://musubu.me