海沿いの6号線で一際目を引くこの建物。ガルバリウム鋼板の現代的な外観からは想像できない別世界が内部に広がっています。
新しものと古いもの、和と洋、光と影。
様々な対をなす要素をミックスして生まれた懐かしくて新しい空間です。
明治以来、多くの政界人、文人にも愛された旅館「海氣館」を解体し、使えるもの、残しておきたいものはできるだけ取っておいて住宅として再構築。
生まれ変わった「海氣館」は、日本でも外国でもなく、過去でも現代でもない・・・。
いつか記憶に刻まれたことのあるような、かつて訪れたことのあるような
そんな場所になりました。
玄関周りは湘南リゾートなイメージです。ソテツや松など以前の植栽をなるべく動かさないように家を配置。
構造強度と意匠を兼ねる大胆な梁。天井高は約6メートル。
セルロース吹き込み+ボード気密工法で断熱性能も確保。リビング部分は薪ストーブで暖房、
写真にはありませんがご両親の領域はサンポットの床下温水全館暖房です。 右手の赤のアイアンの階段には明治時代から使われてきた踏み板が再利用されています。床は洋館の雰囲気のヘリンボーン張り。一枚一枚貼っていきます。
建主様は北欧家具輸入関連のお仕事をされていたので、良いものを永く使う精神と審美眼が卓越しています。新しいものと時代を経た物、洋のもの和のものとのミクスチャーがとても参考になります。ソファーはデンマークのフレデリシア社製のボーエ・モーエンセン。欲しい…
薪ストーブはヨツール、椅子はSTOKKE(ノルウェー製)、照明はレ・クリントとルイスポールセン(デンマーク)など。
北欧の家具は日本の古民家の意匠とも絶妙に合います。いいものはいい。いいものを愛着を持って大事に使えば永く使える。そんな世界共通の真理がここにありました。
日本独特の様式のステンドグラスが愛らしい玄関ホール。
網代天井(杉皮)や襖の建具、床柱など使えるものはすべて取っておいて、ひとつひとつ煤を落としてきれいにしました。古民家の解体、再構築には膨大な手間がかることが伺えます。
旅館時代からのレトロな鏡を活かした洗面化粧台。
寝室は 障子でサッシの存在感を消し、柔らかな光を取り入れます。
竣工:2004年3月
設計:吉田敏彦建築設計室
施工:分離発注方式による
いわきの工務店で建てるなら
