家ナビ東京出張編
正木屋材木店で木材を納めさせていただいている、東京都八王子市の株式会社吉匠建築工藝が手がける「平成の民家 茶畑の家」を取材してきました。
吉匠建築工藝は東京都内とその近郊で社寺建築を主軸に、その確かな腕と信頼で重要文化財の修復建造なども多数手がけています。一般住宅では、古来からの伝統建築技術を継承しつつ最新の技術も取り入れ、日本建築が持つ洗練された美意識を余すとこなく織り込んだ住宅を建築されています。
今回取材させていただいたのは、敷地の広大な茶畑を見守るように立つ和の邸宅です。今では施工出来るところが少なくなった日本古来の通貫工法で堅牢に組まれた構造、檜や杉といった日本の木材の美しさ・粋を再認識させてくれる丁寧な仕事など存分に堪能することが出来ます。弊社で調達・製材した木材が東京立川でこのように生かされていて嬉しい限りです。
日本の木の美しさと、伝統工法の確かな技術を融合し次世代につなぐ「平成の民家」をどうぞ御覧ください。
写真提供:吉匠建築工藝
外観
日本の原風景のような茶畑と周囲の豊かな自然に調和する、切妻及片入り母屋造りの外観。
床をやや高くして四季折々に茶畑がよく見えるように設計。屋根の柔らかな起り(むくり)も見て取れる。
訪れる人を迎える軒を大きく出した玄関。外壁はリシンカキ落し。
玄関・廊下
陶器収集が趣味の建主様に、玄関におもてなしの棚を。
前の家で使っていた煤竹を廊下のアクセントに施す。
「100年以上の耐用年数をふまえ通貫工法を採用し、通気及び換気の良い構造にしました。」と吉川社長。金物類は殆ど使わず、木組みの継ぎ手と仕口で高い強度を保っている。
小屋裏収納から廊下を見下ろしたところ。福島県産の杉を使用した、柱、梁の美しい架構を見渡せる。
階段下に設けた杉の収納箪笥。杉の美しさを再確認。時が経て飴色になってさらに味わいが深まるのが楽しみになる。
居間・和室
内部は漆喰と京壁仕上とし、木材との美しい調和を保つ。
窓の外の圧倒的緑と静謐な室内を、広縁と障子で緩やかに隔たせる。
雪見障子ならぬ茶見障子。窓の外は見渡す限り茶畑。
居間・台所・土間など
和室から居間と台所方向。居間の床は床暖対応の檜。
小屋梁現わしの構造が古民家的な和の要素を引き立てているアイランドキッチンの台所。シンクとガスレンジは建主様のご要望で分けて配置。
「尺2寸(約36cm)の杉の根曲がり丸太の梁材は本数を揃えるのが大変でした。」と弊社社長。
台所から続く三分砂利洗い出し仕上げの台所土間。
台所土間は玄関ともつながっている。そのまま畑にも出ることができる。
杉の無垢の存在感をそのまま現した空間。天板は檜。
左より棟梁(会長)と吉川社長。吉匠建築工藝は息子さん2人とも宮大工の道を歩んでいる。