昭和30年代、漁業で栄えた港町の映画館「朝日館」だった敷地。目の前は海、懐かしい風情を残す町並みでしたが震災で津波が押し寄せ、建物を建て直すことになりました。
こちらの建主様は70代のご夫婦で、そのお姉さんと3人で暮らします。生活しやすいように平屋建てとしバリアフリーに配慮、外観は港町風情を残す杉の下見板張りになりました。この港町にはまだ昔ながらの船主の家も残っており、黒に塗装した杉板はとてもよくなじんでいます。塩害のある地域ですが昔ながらの杉板はお手入れしだいでずっと長持ちします。庇を大きく取りデッキも設け、雨風をしのぎ、建物を守る工夫もされています。
内部は基本天井高を2,200㎜と低めに設定(通常は2,400㎜が多いです)。お年寄りが落ち着ける高さであり、吹き抜けも設け明るさと開放感も十分に感じられます。この天井高と吹き抜けの空間の取り方が絶妙です。
町並みに配慮した外観としながらも、内装など価格的にもローコストに抑えて今後の負担を少なくしています。(※工費は建築データに記載)
リビングダイニングキッチン。手前の天井高が2,200㎜。床はタモ材。
リビングから続く左が玄関、右が和室。ほかに寝室が2部屋と物置。
天井は勾配を付け趣のある仕上げとしたが、壁も天井もクロスでローコスト。
水周りは復興支援パックの廉価版でも機能も見栄えも十分。
玄関収納は造り付け。スロープも設け高齢者に配慮。
南側外観。デッキ材は「ガーデン杉」。デッキ左側は外から出入りできる収納。