今回紹介するのは、小名浜に完成した2階リビングの家。ご近所の家との距離が近く、1階だとほとんど日が当たらない悪条件。期待と不安を胸に、ご夫婦が門を叩いたのはKD設計【※現:(株)佐藤大建築事務所】でした。お施主のKさまにとっては初めての家づくり。ご苦労した点、よかった点、ざっくばらんにお話を伺いました。
初めての家づくりとなるKさまご夫婦。もともとこの場所にはおばあさまが住んでいた家があったそうですが、2011年の震災で半壊してしまい、立て替えを計画。家づくりにあたっては、当初より「地元の建築設計事務所にお願いしたい」との希望があったそうで、インターネットなどで情報を集め、家ナビで見た「『すぎのいえ』のデザインがよかった」とKD設計さんに家づくりを依頼しました。
ご夫婦の共通する希望は「2階リビングの家」であること。そして「デザイン重視」であること。さらには、旦那さまからは「木をふんだんに使い、観葉植物の映える家」、奥さまからは「壁面収納とウォークインクローゼットのある家」という異なる要望も。KD設計の佐藤大さんは、どのようにカタチにしたのでしょう。
◆2階…LDK+サニタリー
シンプルで開放感のあるリビング。旦那さまのリクエストもあり、床材にはアカシア、壁と天井にはラワン合板をあらわしで使っているため、かなり木が使われている印象。観葉植物のグリーンが映えます。
奥さまのリクエストだった壁面収納(左)。天井の高さまであり、本や雑貨をたっぷりとしまえます。可動タイプの棚なので、置くものによって高さを変えられるのがポイント。シンプルなキッチン(右)の食器棚やパントリーはすべて建具屋さんの手づくり。
友人が泊まりにきた時には寝床としても使えるロフト。大人2人が余裕で横たわれます。
日差しを求めたからこその2階リビング。窓を開け放てば、たっぷりと太陽の光が室内に飛び込んできます。
南側にはウッドデッキをつくっています。両開きの窓を開け放てば、さらに開放感アップ。
洗面所とお風呂もシンプルに。洗濯機の上の棚は、コストダウンのため、IKEAで購入した棚を旦那さまが自分で取り付けました。
初めての家づくり、設計事務所に家づくりを依頼してよかった点をそれぞれ伺いました。
奥さま:大手のハウスメーカーではできないような、個性的なデザインの家ができたのがよかったです。自由度も高いですし、自分たちの希望を形にして頂けて、本当によかったと思います。素材1つひとつを吟味して選ぶことができますし、削れるところは削って、お金をかけるところはかける、そのメリハリをつけられるのもよかったです。見積もりもクリアで、どこをどう削ればいいのか、コスト管理の感覚を身につけることができました。
旦那さま:設計を担当する佐藤さんと直で何度もやり取りしながら、家づくりを進められたのがよかったです。デザイン重視の家づくりでしたが、「このデザインだとこんな欠点が出てきますよ?」ということを事前にしっかりと伝えてくれるので、「なんでこんなことになった!」みたいな事態になることはありませんし、対処の仕方も把握できます。納得しながら家づくりを楽しめました。
苦労した点、こうすればよかったと思う点は?
奥さま:メリットとデメリットは紙一重だと思うのですが、自由度が高いぶん、1つひとつ自分で決めなければならないというのは振り返ってみると大変でした。もちろん「お任せで」とお願いすることもできましたが、事前に見学会に行ってみたり、家づくりの雑誌を買って読んだり、ネットで調べたり、自分たちでやらなければならないことも多いので大変でしたね。でも、今振り返ると、それもいい思い出です。
旦那さま:コストを削ることが善だと考えすぎたところは反省しています。住んでみると、ここはお金をかけておくべきだったな、というところがいくつか出てきました。あのときもう少し気持ちに余裕があれば…と思うところはあります。でも、「後々必要になったら付け足せばいい」という考えで作ったので、これからじっくり考えたいと思います。
特に予算という壁があるため、すべてが希望通りにはいかないのが家づくり。ご夫婦の語るように、メリットやデメリットを理解しながら「納得して」家づくりを進められるのが、地元の工務店や設計事務所に家づくりをお願いする最大のポイントです。多くの人にとって「一生で一番高い買い物」になる家づくり。「後悔」が残らないように、納得して建てられるプロセスを重視して家をつくることを、いわき家ナビもオススメします。
1階…個室+玄関
1階のフリールーム。現在は、自営業の旦那さまの仕事場として使われています。もちろん子供部屋にも転用可能。
奥様のリクエストだった大容量のシューズクローゼット(左)と、寝室のウォークインクローゼット(右)。ウォークインクローゼットの棚はすべてIKEAで買いそろえ、旦那さまが施工。
日当りのよくない1階に寝室を。天井高が低めに作られており、適度な「おこもり感」が感じられる。
玄関を入るとすぐに階段が(写真左)。日当りの悪い玄関部分にも光が届くように、階段部分は吹き抜けにし、壁は作らずに簡易的な格子をしつらえました。1階は向かって左側の寝室と、奥のフリールーム、トイレのみ。2階に日中の生活拠点をまとめている(写真右)。
通りから見える北側の壁面にはレッドシダーを一面に貼っていました。残りの三面はブラックのガルバリウム鋼板。縦横に貼ったレッドシダーが個性的。1階にはタイヤなどの収納に便利な外出入りの物置も。