担当:小森測さん
「築60年の古民家の改修です。お施主さんからの要望は、家族みんなが家に愛着があるので、使えるものはなるべく使って、新しい家にはだせない雰囲気を大事にして欲しいということでした。
まず、震災で傾いた家の柱と梁を残したスケルトンの状態にしてから耐震壁をもうけ、耐震補強、断熱改修を行いました。伝統的な田の字型の古民家がもつ風通しのいいプランはいかして、少し暗い北側には天窓を、南側にも新たにランマを取付け、深い軒をいかして光が中まで届くようにしました。昔おかいこさんをやっていた天井裏には新たに2階(ロフト)を作りLDKの吹抜けから繋がる趣味のスペースに。キッチンは対面にし裁縫室、パントリー、玄関納戸それぞれにいけるように動線をまとめました。今回は古い家になじむように建具や天井のデザイン、新しい素材と古い素材のバランスや色など結構悩みました。」
建主様より
「思い出を残したいという希望と生活しやすさを両方実現してくれました。以前は隙間風だらけで本当に寒かったのですが、今は念願の薪ストーブも入り、大空間でも寒くありません。和モダンが家族みんな大好きなのでデザインも大満足です。小森さんにはほぼおまかせでしたが、なんでも言うことを聞いてくれて最高(笑)。」
思い出を壊したくないということと、新しいものには出せない趣が好きだという嗜好、そしておばあさんに昔からの家で過ごしてほしいという建主さまの思いを受け止め、ほぼ柱を残しただけの状態まで解体しつつ、できるだけ原型を変えず、耐震改修、断熱性アップなど暮らしやすさの向上も図りました。家族みんなに愛された家が、現代の技術と感性でさらに永く愛される家へと生まれ変わりました。
梁を現したリビングは古民家ですが断熱改修もしているので大空間が可能です。
リビング北側から南側を見たところ。左手が玄関。右手が続きの和室。
新しい素材と古い素材を自然素材でまとめます。壁、天井は藁入り砂漆喰。床材はあつ密すぎ24。
シンプルで和モダンな一本階段の裏側。
柱に残る梁跡には黒い漆喰を施しました。鉄のような味のある表情に。
二間続きの和室の後ろには洋寝室。北側ですが和室への開口で2面通風、上部に天窓で採光も確保。
大谷石貼りの玄関。右側のドアからキッチンへと繋がります。
建具も玄関ドアもトータルでデザイン。玄関ドアは重量があるので、レールの部分は堅い御影石を施工。
担当した小森測氏。