未曾有の震災を体験し、今までの生活、価値観がゆらいでいる私たち。同じように見える日常でもこれからの暮らし方はかわっていくのではないでしょうか。いわき家ナビ震災後第1弾としてご紹介するのは「当たり前のことをていねいに」暮らしているご家族です。
引っ越して1ヶ月目にお邪魔してきました。引渡し1週間前に震災に遭ってしまったのですが「いろいろと不安はなかったですか?」と尋ねると「引渡し前だったから何かあったら直してもらえばいいかなって(笑)」と奥様(※漆喰にもヒビひとつ入っていなかったそうです)。そんなおおらかな奥様らしさはキッチンにたっぷりと詰まっていました。
最初に出していただいたほっこりとした番茶とこのキッチンの佇まいから「マクロビ」や「デトックス」という言葉がまことに勝手ながら浮かびましたが、なるべく心がけているそうです。厳密なマクロビは制約が多いのであくまで念頭に置きながら、家族のために普通に作る和の料理がこの家や暮らし方の基本のようです。ナチュラルという言葉もあえて使いたくないほど「当たり前のことをていねいに」暮らしている奥様です。
和テイストの「雨楽な家」に奥様の自然体の暮らしがマッチして、まだ住み始めて1ヶ月とは思えない、食を大切にする暮らしになじんだ、なんとも居心地のいい場所になっていました。
引き出しを開けることなく、そのまま調理器具が出し入れできる作り付けのオープンキッチンにしました。吟味された長く使える使い勝手のいい調理道具は、所定の場所に端正に収まります。キッチンというより台所とあえて呼びたい。
使い勝手のよさとと既製品ではないぬくもりのある台所(写真左)。 洗面ボウルは理科実験用の大きくて深さのあるものにしました(写真右)。
キッチン裏の大容量の収納庫は食器や自然食材が整然と並びます。
リビングダイニングは大きなイチョウのダイニングテーブルが中心に無垢と漆喰で。
ダイニングテーブルと奥のベンチは大工さん作。手前のそらまめ椅子は7年前にフリマで求めた4pointさんのもの。
玄関土間と続きの8畳和室。漆喰の壁、土佐和紙の天井、襖、など白ベースですっきりとした印象。
2階の子供部屋とファミリールーム。1階も2階も床は桧。お子さんも「きもちいから!」と靴下を脱いでしまいます。
ファミリールーム本棚やキッチンはJパネルという杉の積層材で造作しました。
2階の床の一部をスノコにして、光が上下にもれる演出。
外壁の2色使いはご主人のこだわり。敷地が110坪あり、奥様が園芸店にお勤めしていたこともあり、これからの庭造りが楽しみです。
ー担当者よりー
長期優良住宅であり、中央台エコプロジェクトの家です。モデルルームにご来訪いただいて以来、情報をこまめに提供させていただいてところ、中央台エコプロジェクトをきっかけに当社で建築をさせていただくことになりました。さらに、東側が桜並木と森が広がる抜群なロケーションを決めることができました。
奥様は既製品ではない手仕事のあたたかみの感じられる自然素材の家をお望みでした。キッチン、ダイニングテーブル、ベンチなども当社の大工を信頼して任せてくださいました。また、洗面所のタイル貼りなどもご自分で施工されるなど、積極的に家づくりに参加していただきました。ちょっと素人とは思えない仕上がりには驚きました(笑)。当社としては、素材感を大切にシンプルに仕上げ、ご家族が自分たちの好みに色付けしやすいように心がけました。今この住みこなしぶりにちょっと感動しています。