環デザイン舎より
建主様との出会い
・古民家リノベーションの設計ができる人を探していた建主様の知人からご紹介いただきました。
建主様からのご希望、ご要望
・まず、昔住んでいた築100年くらいの古民家をリノベーションして住みたいが可能かどうかというところからでした。和室まわりなどは既存の状態を残しつつも新しい住まいにつくり替えたい、冬寒くなく夏涼しい家づくりにしたいというご要望もありました。釣りが趣味のご主人は、釣り具の保管と釣った魚をさばける大型シンク付きの釣具室がご希望でした。
設計・施工のこだわりポイント
・既存建物の調査から、基本的な躯体の劣化は少なく、水まわりや増築部分の劣化が見られました。そのため、プランニングを通して増築部分の一部を減築しています。
・既存建物の骨格を活かしつつも、建物の中心にLDKを配置し、増築していたDKを趣味室へ変更するプランニングを行っています。生活しやすいプランニングをお施主さんと綿密に打合せをし、奥様からは和モダンなデザインにしたいというリクエストいただきました。
・書斎コーナーやオーディオアンプ設置に関してはご主人と利用器材等の確認を行い設計しています。
使用した木材、素材のこだわり
・基本的に自然素材が求められました。むくルームでフローリングと天井板、無垢カウンター板を選定しています。
・南側のサッシは、木製サッシを利用しています。
・床は無垢栗フローリング。天井は米ツガ。キッチンカウンターはブラックウォールナット無垢板。トイレ手洗いカウンターはパープルハート無垢板を利用。
・内装と外装には漆喰を利用。
その他
・古民家のため耐震補強には、制震ダンパーを利用しています。古民家ならではの揺れによる地震力の吸収能力を高める耐震補強方法を採用しています。
BBEFOR 築100年の古民家
1.暮らしやすいLDKへ
和室が並んでいたところの一部を残し、LDKにリノベーション。さらに、母屋へとつながっていた廊下との仕切りをなくすことで、見通しの良い間取りになりました
床の栗、天井の栂、壁の漆喰など味わいのある自然素材を合わせることで、古いものと新しいものを無理なく繋いでいます。
広い縁側はそのままに。奥の台は昔の神棚を再利用したものでアンプ台として活用します。
2.庭を眺めながら過ごすキッチン
右手がキッチン。以前は北側に独立していた台所。今は広々としたLDKになり、お庭を眺めながらゆったりとした時間が過ごせます。
キッチンのカウンターにはブラックウォールナットの一枚板を使用。
3.和室のしつらえはそのままに
和室全景。床柱や落とし掛け、竿縁等は既存のものを使用しました。趣のある畳もそのままに。リノベーション後も元のお住まいの一部が残っていると落ち着きますね。
4.魚屋仕様の趣味の部屋
釣りが趣味のご主人の一番のこだわりは、釣ってきた魚をすぐに捌ける釣り専用スペースです。シンクは全長1200mm、鮮魚店のようにそのまま水を流せる土間は、針が見やすい床の色で仕上げました。竿棚もあって釣り好きには最高の仕様です。
5.居室部分
寝室の床は、歩行しやすく冬は暖かいカーペット敷きになっています。部屋を出てすぐに洗面とトイレを配置。
寝室のウォークインクローゼットは棚と引き出しが多めのシステム収納。
トイレカウンターにも無垢材を使用。パープルハートと有田焼の洗面ボウルという面白い組み合わせです。
6.玄関〜外観
玄関の柱も元の柱を再利用しています。式台は今回新たに設置しました。
瓦屋根に漆喰の壁という伝統的な建築様式をとりながら、どこが現代的な雰囲気も感じさせる、まさしく「和モダン」なお住まいです。代表の北瀬さんも「古いもののよさを消さないでどう繋げるかが一番大事」とお話ししていました。