祖父の家を建て替えることになった建主様。愛着のある家の思い出をどこかに残して繋いでいきたいと考えていました。たくさんの住宅展示場や見学会を見て回り、小森工務店の自然素材を生かした家づくりに共感し、古いものも活かしてくれると確信して依頼することにしました。
「地元いわきの素材を使いたい」という希望もあり、随所で使われていますので、ぜひ本文から見つけてみてください!
■建主様からのご希望、ご要望
・ミニマムな2階建ての家にして、自然素材を使い木製サッシやペレットストーブもいれたい
・庭や畑とつながるようにしたい
・祖父が住んでいた古い家を解体するので、使えるものは使いたい
■設計・施工のこだわりポイント(小森工務店より)
家の前の土地で家庭菜園もされているので、外部は洗ったり、干したり、お茶を飲んだり、泥のついた長靴でがしがしと使えるように軒を深く出して屋外キッチンを作りました。またこの地域特有の強い西風を防ぐために、外物置と住宅を分けて通り土間にすることで、住宅部分への影響を小さくすることと、北側に井戸があるのでそのまま野菜や長靴を洗えるように外の動線を工夫しました。
解体した母屋も素敵な建物だったので、建具や丸太梁、地板など使えそうなものはなるべく使って、特に建具はまだまだ使いたいものがたくさんあったので、玄関とリビングを分ける壁に再利用しました。2階はおおらかな一室で家具で区切るようにしています。
新しいものと古いものを組み合わせながら、ほぼ自然に還る素材でつくりました。
1.景観をつくる外観と庭

西側から建物を臨む。ロックガーデンと植栽で緑豊かな美しい景観になっており、通る人にも癒しのひとときを与えてくれます。

建主様が大事に手入れをされている庭と、そとん壁とピーラー板張りの外壁が美しい建物全景。

玄関前の物置とは大屋根でつながり、裏庭へと続く通り土間になっています。抜け感が気持ちいい場所。

物置内部にも以前の家の建具が使われています。
2.エントランス~和室

大谷石が敷かれた余裕のある広さの玄関。左側の玄関と居間の間にある壁は、思い出の刻まれた建具をパズルのように組み合わせて仕立てています。

玄関奥には、地窓のある和室と収納庫。手前には常磐白水焼の手洗いとトイレがあります。

和室は2畳とコンパクトですが、隣の収納(右側)と上下でつなげているのが絶妙。
3.居間・台所

地産材のあつ密すぎを床に敷き詰めた台所と居間。幅と厚みがあるので迫力があり、あたたかで柔らかな雰囲気が古いものとの相性も抜群。ペレットストーブも設置。

居間側からみても面白い古建具の連続。障子は遠野和紙を使いました。

サッシと障子と網戸が引き込める掃き出し窓。縁側と庭とアクセス良好。


完全造り付けの台所。細かな採寸がされていて、お皿も一枚一枚ピッタリ収納。

収納庫は台所と廊下からアクセスできます。
4.おおらかに使う2階

階段を上がると、大きなワンルームを家具が穏やかに仕切るプライベート空間。

2階の床材は桧です。節のない落ち着いた雰囲気のものを。

ワンルームの中にクローゼットと洗面、トイレ、バスルームがあるので、1周するうちにすべての用事が終わっていそうです。バスルームの窓の奥がベランダ。
5.庭を楽しむ

畑もされているので、農作業の合間に使えるように、デッキを幅1.8m、軒は2.4m出しています。以前の家の丸太梁も活用。手前が屋外キッチン。

「建物の位置をプランニングするときに、庭の大きな石の上に座って考え込む小森さんが印象的でした」と建主様。一休さんみたいだったのでしょうか。右が小森社長。