親夫婦と同居しながら、生け花教室用アトリエ併設型のお住まいをお考えだった建主様ご夫婦。Atelier Malm(アトリエマルム)のデザイン力で、アトリエ部分と住居部分を緩やかに区別しながら、スッキリとしたキューブ型のお住まいが完成しました。
特徴的なのは、建主様の「斬新なデザインで!」というご要望にお応えするために、敷地に対し建物を斜めに配し、家全体の形に対しても居室を斜めに配置したこと。既存の価値観に捉われない大胆な間取りが採用されています。構造材を現しにし、斜めに配すことで空間に奥行きを感じやすく、使い方を固定されないフレキシブルな空間構成に設計されています。
また、玄関から入ってすぐのリビングを吹き抜けにし、2階の面した部分の壁を極力取り払ったことで生まれている抜け感もおすすめポイント。
奥様は、将来的には生け花教室の他に、食事のできるカフェとしての活用も考えているそうで、今後どのように使い方が変化していくのか楽しみなお住まいです。是非最後までご覧ください。
ーAtelier Malm 佐藤大ー
五間角(5間(9,100mm)×5間(9,100mm))の正方形の中に、2間(3,640mm)×4間(7,280mm)の長方形を30°斜めにした入れ子にしました。コンパクトな空間の中にも少し欲張って諸室を設けられます。窮屈にはならず、パースの効いた伸びやかで開放的な空間ができました。
1.斜めなシンプルモダンハウス
区画整備された住宅地ながら、アトリエ併設という用途に応え、あえて道路に対し斜めに建物を配置し、玄関を南と北に2つ設けました。
住宅用の玄関には将来に備えてスロープを設置。表情のある窯業系サイディングをスタイリッシュに縦張りにした外壁。ちょっとオーバーハングしているコンクリートも面白いですね。
玄関前を庇付きの長いテラスにすることで、薪置き場や外での作業スペースなど様々な用途に対応することのできる空間に。
2.さらに斜めにLDKスペース
玄関を入るとまず目に入るのは、空間を斜めに切り取る玄関土間。2階部分は吹き抜けの間を斜めに走っているというユニークな構造をしています。
広々とした玄関土間には建主様こだわりの薪ストーブ。蓄熱性に優れたソープストーン製で開放的なお住まい全体を持続的にあたためてくれます。
吹き抜けとなっているリビングはキッチンと玄関土間も含めて17帖。2階部分まで視線が通っていることで数字以上の広さが感じられます。
開放的ながら先の読めない空間構成の面白さは設計事務所ならでは。
3.1階居住空間と水回り
1階親世帯寝室。奥に見えるのは・・・
寝室からウォークインクローゼット、サニタリーへと一直線にし、高齢でも負担の少ない動線にしています。
トイレも約2帖と余裕を持った広さに。
キッチンの後ろには両サイドから出入りできる約2.2帖のクローゼット。
4.花の香りのアトリエスペース
続いて約9.3帖のアトリエスペースをご紹介。奥様が以前から続けている生け花のアトリエ兼教室として使用。窓際にはディスプレイ用の可動式棚が設けられています。実はアトリエ部分の床は外を歩く人から窓際の花々が綺麗に見えるよう、一段低く設計されているんです。
こちらは北側にあるアトリエ用の専用玄関。
縦格子の引き戸の先は居住空間で、カフェ開設時はキッチンと直動線になります。
5.ロフト&半個室の2階スペース
木製のスケルトン階段を登って2階へ。今人気のスケルトン階段、奥が抜けて見えるようになっており、スッキリとした印象に感じられるのが特徴です。
最初の設計段階ではなかった2階のロフトスペース。建主様との打ち合わせの中で収納量をもう少し増やしたいということで階段脇のスペースに8.5帖分設置しました。
半個室的な2階の主寝室。壁の上部を空けることで生じる抜け感が抜群です。
奥には扉が二つあり、左手奥は3帖のウォークインクローゼット、右手は吹き抜けとつながるフリースペース。
こちらがフリースペース。こちらから1階が見下ろせますが、最後まで頭の中で間取りが描けない「斬新なデザイン」が貫かれていました。