家ナビをご覧になって、作風が好みだったということで環デザイン舎に相談した今回の建主様。古い家屋へ増改築された住まいが、子どもさんの成長と共に手狭になったこと。古い家屋が震災の影響で傷んでいることなどから、同じ場所への建替えとなりました。
住まいの要望の主要な内容は以下になります。
・親子三世代の二世帯住宅。
・家族間で共有する部分や分離する部分の検討。
・広い折上げ天井のワンルームLDK。
・自営業をされていることから、お仕事の打合せスペースにもなる和室の配置。
・薪ストーブを将来的に設置するスペースの確保。
・今までの住まいの建具の再利用。
・子どもさんの身長が記された柱の再利用。
・冬暖かく、夏涼しい。
・長期優良住宅等の補助金スケジュールへ対応させる。
様々な条件から非常に短期間の設計と施工で、つくりながら考える状態でした。短期間での住まいづくりでしたが、研究熱心なご主人による、住まいのデザインや素材選定など、率先してサンプルなど多数吟味いただきました。また、以前の住まいリフォームの際で感じていた改善点も新しい住まいへ反映しています。S×W工法を利用した長期優良住宅です。(環デザイン舎 北瀬幹哉)
1.軒を大きくだしました
高さを抑え軒を出し、ジョリパット塗壁を施した和風の佇まい。デッキ部分もすべて軒下に。四季があり降雨量も多い日本では軒が役立ちます。
三世代同居ということで三世代目は2階部分へ。壁の微妙な色味は多数サンプルを取り、建主様が厳選しました。
以前の住居から欅の式台を再利用した玄関。下駄箱を浮かせ、間接照明を使うことで空間にゆとりを。右側はシュークロ―ゼット。
2.三世代が過ごす場所
堂々と奥行きの感じられるI型のLDK空間。L型かI型か検討を重ね、建主様のご希望でI型にするとともに、天井に変化をつけて直線的過ぎないようにしました。
薪ストーブを設置予定のLDKは多世代の家族が集っても各々が緩衝しない余裕の広さ。
屋根の勾配に合わせた折り上げ天井にはヘムロック(ツガ)の板を合わせました。奥は主寝室。
玄関と階段方面。家の中心となり上下階をつなぐ収納階段がフォーカルポイントに。
造作収納棚と既製品のキッチンを組合わせ、予算を調整しながら統一感のある仕上がりに。
キッチン脇は食料庫かと思いきや、ご主人の書斎。家族から付かず離れずの距離感がポイント。食料庫は反対側にあります。
3.柱の傷もそのままに
階段収納は、学習スペースや作業スペースにも見込んでいるので床コンセントもあります。柱は以前の家のもので、お子さんの成長(身長)が刻まれています。
建具と手すりは縦格子。階段板と収納棚板がつながっています。
4.記憶を繋ぐ、木部の再利用
以前の家の建具などを再利用することで思い出を繋ぎます。二間続きの和室の間には高さを調整した簾戸をはめ込みました。欄間部分は前の家の古ガラスを利用、採光にも一役。
自営業のための応接を兼ねた和室です。
すりガラスの小さな建具はお仏壇に再利用しています。
5.その他水回り
お母様のLDKと光を通す引戸の奥に寝室。
2階の洗面は娘さんのセレクトでタイルを組み合わせました。
◎むくルームで木をお選びいただきました
今回は正木屋材木店「むくルーム」をご活用いただき、リビング天井(ヘムロック)や床無垢フローリング(あずみの松)を選定いただきました。
フローリングや壁材など大型サンプルで展示していますので、実際に触れたり歩いたり質感を確かめながら選定いただけます。約70種類以上の床・壁・天井材と、迫力の一枚板を一同にご覧いただけます。
↓お施主様材木屋ツアーも随時開催中↓家に使われる木材の製材・乾燥の様子などもぜひどうぞ。