親から子へ、そして孫からその先へと住み継ぐ。東日本大震災を耐えた大入母屋を持つ民家の大改造。見事な入母屋はそのままに、既存の設えを最大限に活かしながらのリフォーム事業です。その上で、この大容積の暑い寒いを凌ぐ、温熱環境づくりが最大のテーマとなりました。
暮らし向きの変化に伴う間取りの再整備はもちろんのこと、眠っていた広大な小屋裏は子ども達の格好の遊び場に大変身。親から子へ、そして孫からその先へ、世代循環がスムーズに計れる家づくりです。
立派な大入母屋の屋根が目ひきますが築年数は30年と比較的浅い、約70坪の大きな日本家屋。大人数が集まっても対応できる仕様になっていますが、住み継いだ子育て世代の家族にとっては「①寒い・②暗い・③使いづらい」と実生活を営むにはいささか不都合が多かったようです。テレビで見て「ぜひ頼みたい!」と、大改造ビフォア―アフターでもおなじみの瀬野和広さんに設計を依頼し、大改修が始まりました。
寒さ解決のために家全体に高断熱改修を施し、省エネルギーの輻射熱冷暖パネルヒーターを設置。「子供達が行きたがらなかった」特に暗く寒い北側は設計で光を取り入れ、全館暖房で廊下まで室温ほぼ一定です。三間続きの和室はそのまま残し来客用に。LDK周りを中心に家族が集い、くつろげる間取りとなりました。
外観は壁だったサッシ上部を採光のためにガラス張り(トリプルガラス)を採用。夜は光が漏れて温かい雰囲気に包まれます。見た目は大きな変化はなくても、省エネルギーで家中温度差がなく快適に生活できる家族の健康と暮らしやすさを考えた、これから主流になるリフォーム(の大規模版)です。
玄関を入ったところ。白い格子はパネルヒーターで温熱環境を計算して配置。目隠しとしても一役。
左側が寒かった北側廊下。基本的意匠は変えていませんが、採光と温熱環境は大変化。 右手が玄関。
家事スペースや収納庫も充実のアイランドキッチン。天板を小上がりの和室までつなげています。
LDKにあるらせん階段(左)を上がると、屋根裏を利用したファミリースペース(右)。
効果的な採光により北側の子供部屋も明るくなりました。階段はダイナミックな屋根裏につながります(左)。折り上げ格天井も見事な主寝室(左)。天井は基本的にすべて格天井の豪華仕様となっています。
ダブルシンクの洗面脱衣室から家事スペース、キッチンへ(左)。リフォーム前の住宅にあった手の込んだ和の意匠はできるだけ残しています(右)。
こちらはほとんど手を加えなかった南面三間続きの和室と広縁。左手が玄関、右手が主寝室。
屋根裏にたっぷり400ミリ吹き込んだグラスウール(左)。ドイツ製の熱交換型24時間換気システムで熱ロスなく温かな暮らしを実現(右)。
13段の小屋組み丸太に圧倒される屋根裏小屋。子供部屋からつながるのでどう使われるのか楽しみです。