vol.1 家づくりは「家を見る」ことから

K男さんの家づくりコラムvol.1

いわき家ナビの読者の皆さん初めまして。いわき市在住のK男です。皆さんの家づくり、いかがですか? 私も、地元の設計事務所さんにお願いをして、2014年に自宅を新築しました。住み始めておよそ1年半の自宅で、2016年を迎えたところです。ようやく家にも住み慣れ、じわじわと「家を持つ喜び」みたいなものを感じられるようになりました。

私の家づくりはスムーズにいったわけじゃありません。何しろ初めての経験でしたし、どのくらいの費用がかかるかもわからない、家づくりのプロセスだって何1つわかりませんでした。そのくせ「かっこいい家に住みたい」みたいな妄想があって、ハウスメーカーではなく設計事務所さんにお願いをしたので、自分で決めなくちゃいけないことが数多くありました。(なので業者の皆さんには迷惑をかけたと思います。)

今改めて振り返ると、色々なことを思い出します。「ここはこうしておいてよかったな」という良い点、「ここはもっとこうしておくべきだったなー」という反省、あるいは「ここは注意しようぜ」というポイントや、「ここはこうするといいよ」という提案など、ほんとうに色々。

そこで、いわき家ナビさんのスペースをお借りして、私が経験した家づくりを、良かったことも悪かったところもまるっと振りつつ、皆さんと一緒に「家づくり」を考える連載コーナーを書かせて頂くことになりました。家づくりって人生のなかで一番高い買い物。慎重に、しかし果断に、色々なものを決断しなければなりませんよね。その決断のときに活きる、何かしらのヒントになればと思います。

 

—「見る」ことからすべてが始まる

私たち夫婦がそもそも家づくりを意識し始めたのは「祖母が暮らしていた家が空いたから」という、いわば棚ぼた的な理由があったからでした。結婚したばかりで、本来なら、賃貸住宅で慎ましい生活を送って生活資金を貯めるべきタイミングかもしれませんが、「新しい家に住めるかもしれない」チャンスが転がり込んできてしまったわけです。

私たちが最初に着手したのは夫婦で「家を見る」ということでした。まずは「自分たちならどんな家に住みたいか」ということを知る、というか「感じる」ことが大事だと考えたからです。「こういう家いいよね」という意識の共感。夫婦でそれを感じるところが家づくりのスタートラインです。

すぐにでもできるのが、住宅地への視察ドライブ。あの家いいよね、この家の外観いいよね、うわーここの家の庭かっこいいなあ。そんな会話をしながらイメージを高めていくのが大事です。外壁の雰囲気、木材の使われ方、家の形や屋根の形など、あくまで外観が中心になりますが、多くの物件を見てイメージを高めていきましょう。

住宅地のドライブが終わると、今度は実際に「中」も見てみてみたくなるもの。そこで訪れたのが市内の住宅展示場です。やはり家の中を見ることで、かなり現実的なイメージを持つことができるようになります。内装、家具、照明や水回りなど、「あ、こういうのかっこいいな」というものを集めていくのがいいでしょう。

勉強のために、展示場にあるすべての家を見て頂くことをお進めします。はじめは断熱のことや耐震性のことなど専門的なことはわからない人が多いと思いますが、聞いていくとそのうち少しずつ慣れてきますし、「こんな雰囲気がいい」というイメージを固めておくことがその後とても役に立ちます。

というのも、私のように、地域の設計事務所や工務店で家を建てる場合は、設計士や大工さんが自分の好きなイメージとか好きな映画とか、ライフスタイルを聞いてくるところから家づくりが始まります。その時に自分の持っているイメージをはっきりと伝えられるかが重要。ですので、イメージを具体的に伝えられるように現場を見る必要があるわけです。

—自分の好きなテイストをスクラップしておく

イメージを具体的に伝える、という意味では、雑誌の切り抜きも役に立ちます。建築デザインなどを取り上げることの多い『Casa BRUTUS』とか『PEN』などはイメージ集めに役に立ちした。これはかっこいいなという建築や住宅を見つけたら、ハサミでカットしてスクラップを作っておくといいと思います。

あるいは、地域の住宅情報誌などは、地元の業者さんのリスト等が掲載されていることも多いので、購入して、どんな業者さんがいるのかを把握しておくのも大事でしょう。この業者はこんなテイストの家を建てるのか、という情報に触れておくと、その後業者さんを探すときにも多いに役立ちます。

つまり、「自分はどんな家に住みたいんだろう」ということを、自分で少しずつ理解していくことが大事なんですね。住宅の面白さって、家を作ろうと思わないとなかなか見えてこないもの。徘徊して、スクラップ作って、展示場に行って、ようやく「家を作る」という視座から住宅を見ることができるようになる、というか。

ニュータウン徘徊からのスクラップ収集。さらには展示場への押し掛けと、とてもオタクっぽい響きの言葉が並んでしまった感じもありますが、やっぱり「見て」、そして「感じる」ということが、何にせよ家づくりの第一歩です。どうぞ恥ずかしがらず、堂々とまちなかを徘徊しながら、家づくりへの準備を進めて下さい。

1315

同じ仕様の住まいを探す

関連記事

  1. vol.7 抗い難い無垢フローリングの魅力

  2. 水越美枝子さん「いつまでも美しく暮らす住まいの作り方」

  3. 第9話 断熱もデザイン③「熱を仕切る断熱エリア」