今回ご紹介するのは、祖父母世帯、親世帯、子世帯と3世帯4世代が暮らす大家族の増改築です。依頼先を検討するにあたり親世帯と若夫婦でたまたま別々に家ナビを見ていて、「小森工務店」で両者一致したそうです。

もともと築20年の2階建ての家の隣には、築60年以上の田園風景に馴染んだ民家が繋がって建っていて、今回はそちらの部分のみを解体し、若夫婦のスペース+祖父母のスペースとして増築しました。
ご要望としては、外観と真ん中の玄関廻りは、周囲の景観に馴染むように和の雰囲気を大事にしたいこと、また数寄屋のような雰囲気も好きだとおっしゃっていたので、南側は庇をぐるりとまわして高さをおさえ、建物を一部L形にすることで、庭の立派な松の木をどこからも眺められるような配置にしました。

その他の要望としては、木を基調にした内装、物がなるべく見えないように要所要所に適度な収納を作ること、小上がりの和室、小上がりで畳の寝室、畳の書斎などがありました。
既存建物と繋がっているので夫婦のLDKから断熱区画としています。(小森工務店 小森測)

「増改築のイメージが漠然としていて、出来るかどうか分からなかったのですが、小森さんは最初からすごく親身に話を聞いてくれて、要望はすべて取り入れてくれました。3世帯同居なのですが、生活動線は小森さんの設計通りになっています。」と若夫婦。

日本の原風景のような周囲の景観と調和し、4世代が付かず離れず行き来しやすい「和」のお住まいになっています。

1. 松を主役に アプローチ 〜 外観


左側の子世帯と中央の玄関部分が増改築した部分。右側が築20年の親世帯。今回既存家屋と直接つながる増改築のため、そちらも申請に必要な耐震補強をしています。
子世帯に向かって伸びる樹齢70〜80年の松の影の美しさ。この松を中心に、周囲の景観にも馴染む家にしたいと若夫婦は考えるようになりました。
松に砂利の庭、そして数寄屋の屋根と軒。若い世代が純和風を再解釈します。

2. 玄関〜祖父母スペース


3世帯が共用する玄関は玄昌石を敷いてゆったりとした広さに。正面が祖父母の居間です。祖父母の居場所を中央に配し、どの世代からもコミュニケーションが取れる間取り。
杉と筵(むしろ)の落天井で数寄屋の趣を。丸窓には華道師範のお母様が季節のお花をあしらいます。
玄関正面の祖父母の居間。お孫さんのスタディスペースが隣接しています。
玄関から各世帯へ行ったり来たりが自然にできる、心の風通しのいいプランです。

3. 和+モダン 子世帯LDK


屋根勾配を利用した天井と間接照明、キッチン腰壁のセメントボード、ブラックウォールナットの造作などモダンな内装に、縦格子や障子で和を合わせます。

ダイニングテーブルはモンキーポッドのレジンテーブル、ベンチは解体した家の差鴨居を再加工したもの。木が大好きだというご主人。

L字型に配された小上がりの和室は2面採光で日当たり抜群。今は子どもたちの遊び場として大活躍。リビングは畳敷きがご主人の希望で、床座でくつろぎ感をアップ。
造作家具はブラックウォールナットで統一。格子の奥は子どもたちのスタディスペース。
造作家具の取っ手はすべて真鍮製。
子どもたちのスタディスペース。襖の先は祖父母の居間。

4.外と内をつなぐ大きな窓


ダイニング前はフルオープンの木製サッシ。障子、網戸も全引き込み。
抜群の開放感で、室内→庭→田園→山と、眺望のレイヤーを楽しみます。

5.プライベート空間

小上がり畳の主寝室はキッチンの横。「朝起きて直行できるのでとても便利でした」と奥様。ウォークインクローゼットと、畳敷きのご主人の書斎もあります。
お子様のファーストシューズが飾られたご主人の書斎。1.5畳ほどのスペースですが足元を掘り込んであり、座ったまま全てに手が届き、居心地良さそうです。

建築データ

所在地
福島県いわき市
家族構成
夫婦と子供2人 両親2人 祖父母2人  4世帯
延床面積
増築部138.18㎡(41.74坪) 既存部123.28㎡(37.24坪)
敷地面積
1031.94㎡(311.76坪)
竣工
令和3年7月竣工
構造形式
木造軸組構造
設計
(株)小森工務店
施工
(株)小森工務店
参考予算
3000~3500万円

※本体価格に含まれるもの:建物本体(家具工事、設計料含む)
※含まれないもの:外構、地盤改良、解体費、屋外配管工事、諸経費、カーテン、エアコン、照明、太陽光発電、消費税など

主な外部仕上

屋根
瓦葺き、ガルバリウム横葺き
外壁
リシン吹付

主な内部仕上

珪藻土クロス、京壁、ビニルクロス
天井
アガチス羽目板、杉板、珪藻土クロス
ナラフローリング、CF