設計 佐藤大
日常に居ながら、いかに非日常的なラグジュアリーな空間に陶酔できるか。
まずは外界との断絶、道路に沿ってほぼ建物で覆いつくし、閉鎖的な城郭をイメージした。南側にせり出したオーバーハングにより、存在感と重厚感をもたせた。
閉鎖的な城郭によって外界と隔離された内部は、テラスを囲うように開放感のあるプライベート空間となっている。沿道に面するファサードには、コンクリート打ち放しの面と、白の外壁面の存在が目を惹きつける。沿道側の開口部を抑制して、スリット状に設けたガラス越しには桜の木の借景を望む。テラスと一体となったリビングには、バイオエタノール暖炉を設えラグジュアリー感を演出している。
浴室もホテルライクなイメージで、ガラスパーティションによる開放感を出している。1階和室の窓から望む庭は、遠近法による奥行きが感じられる空間とした。階段下にはユーティリティーから続く、借景が望めるスタディーコーナーを設けた。
プライベートエリアである2階には、子供室やベッドルームをまとめている。2階の床材は、1階の床材の硬質なブラックウォールナットに対して、ナチュラルなパインフローリングとしたのだが、対比効果が良く、安らぎのある落ち着いた空間となった。夫婦寝室は、ラグジュアリーな和モダンホテルを想定したインテリアとしている。非日常の空間を意識しつつ、日常の楽しい遊びも備えたバランスの良い住宅となった。
1.箱を重ねる外観
道路に並列にオーバーハングした外観が圧巻の存在感。この外壁が外部との境界となり、内部のプライベート感を保ちます。
傾斜のあるエントランスを上がると玄関。外構のコンクリートと建物が融合しつつ浮遊しているかのよう。外観から非日常感を味わえます。
2.シームレスなリビング
玄関を入ると、透明ガラスのドアの先に「常にこの状態」のリビングルーム。ホテルライクなラグジュアリー感をご希望だった建主様は住みこなし方もスッキリ。正面奥のタイル部分はバイオエタノール暖炉を設えています。
リビングの先にアイランドキッチン。その奥にダイニングという間取り。この間取りにはとっておきの秘密があります(理由は後述)。
リビングのサッシの向こうにはコンクリートとタイルのテラス。玄関からずっとシームレスに繋がっていて、空間に広がりを感じさせます。
リビングとフラットで一体化して使えるテラス。コンクリートの壁が外部からの視線を遮ります。
3.プライベートDK
キッチンの後ろに左側がユーティリティー、右側がダイニングという間取り。
変形間取りの理由はダイニングから窓の外の桜を楽しむため。階段はどの段もビューポイントになります。
ユーティリティスペースの先には、テーブルとベンチがある秘密基地的極小スペース。体の大きなご主人もお気に入りの場所。
階段からダイニング→キッチン→リビング方向。
4.開放感+個のスペース
南面の開放的な大きな窓と階段。風景の季節の移ろいを大胆に取り込みます。
子供部屋は3つ。システム家具で空間を有効活用。
5.和を愛でる
2階の主寝室は和空間。こちらも和モダンの高級ホテルをイメージして間接照明、採光などを調整し、非日常的な日常を演出しています。
1階の客人用の和室。地窓からの採光、竹の腰板、墨色の壁。地窓を開けると坪庭。
6.白い水回りは2WAY
白でまとめられた水回りは①洗面+お風呂、②洗濯+収納の2系統の動線があります。奥様の家事効率を上げつつ、生活感を出さないホテルライクなお住まいには欠かせないポイントとなっています。
①洗面+お風呂動線。白いタイルでまとめられ、収納もたっぷりで生活感は見事に消されています。
②洗濯+収納動線。こちらは靴洗いもできる大きなシンクなど家事をしやすいようになっています。
ハニカムタイルや光沢のある壁紙でこちらもラグジュアリー感をアップ。