日本人の多くが憧れをもつ「木の家」。その温もりと表情を活かしながら、現代風の和モダンデザインに落とし込んだのが、今回紹介する新築物件です。日本古来の知恵と技術、そして、高気密高断熱工法という最新技術がガッチリと手を握りあう、自然で快適な家。その全貌をご紹介します。
無垢材や漆喰などの自然素材を使い、日本古来の技術を継承しながらも、現代的で温もりのある家をつくり続けてきた江尻建築。いわき家ナビでも、江尻建築のコンセプトハウス「雨楽の家」シリーズを紹介してきましたが、今回の家もまさに「江尻さんらしい」木の家といえるでしょう。
床材にはヒノキの無節のフローリング材を、壁には漆喰、障子には和紙と、自然素材をふんだんに使っています。家の構造や造作のデザインは直線的ですが、家具などに「丸み」のあるものを使っており、モダンな風合いと木の柔らかな風合いが見事に共存しています。そして、自然な木の香りが爽やか。
リビング脇には、奥様の要望で和室をしつらえました。家の中には段差はなく、フローリングから畳、畳からフローリングと、ずっと裸足で歩くことができます。剛性と柔性を兼ね備えたヒノキなので、足にも負担がかかりません。取材の日も子どもたち(男の子3人!)が裸足で駆け回っていました。
1階キッチンの奥には、旦那さまこだわりの書斎が。作り付けの本棚は、旦那さまが1cm単位で細かな要望を出し、職人が作り上げたもの。本がビッシリと収まる姿は壮観です。本はカビが大敵ですが、通風と採光を意識的に取り入れることで通気性が生まれ、こぢんまりとしつつも快適な空間になっていました。ご主人の書斎がキッチン脇にあるのも珍しいパターンと思いつつ奥様に聞いてみると「ご主人も視界に入るように」とのこと。まさにキッチンは司令室です。
階段を上がると、そこにも本棚が。ここには、子どもたちの絵本が入り、将来的には教科書や参考書が並ぶことになるのかもしれません。階段の壁を利用して学習机も作り付けました。子どもたちの将来を考えての家づくり。子どもたちが素足で駆け回れる家は、パパもママも思わず笑顔になる家でした。

天井や床にふんだんに無垢材が使われ、呼吸するたびに木の存在感がほのかに感じられるリビング。以前のアパートでは結露に悩まさていましたが、今は結露は全くなく暖房はエアコン一台で冬場を暖かく過ごすことが出来たそうです。

奥様の希望で設けられたリビング脇の和室。素足で歩ける場所がどこまでも続く。

ご主人の所蔵する本がところ狭しと並べられた書斎。自然な光が入る子どもたちもお気に入りの場所。


キッチンの奥にあるのが旦那さまの書斎(左)。そして、リビングの収納の妙(右)。ちょっとしたスペースに設けられた収納スペースのおかげで、手を伸ばせばお気に入りの本やお酒などに手が届く。

和室の引き戸は引き込み式でフルオープン可能。

2階寝室。ウオークインクローゼットを配置。天井の部材もあわらしに、ナチュラルな落ち着きのある空間に。

2階の入り口部分が子どもたちの遊び場スペース。たっぷりの本棚。カウンター式の学習机もしつらえた。

子どもたちが大好きだと言う絵本も、こうして裸足で木の温もりを感じながら。

造り付け玄関収納が両サイドに。渡り用に式台が付いているのも嬉しい。左手はお客様をすぐに通せる和室。