【サラサホームいわき南】いいとこ取りで「等身大の家」づくり

ー家ナビ編集部の会社訪問その10ー

(有)サラサホームいわき南 鈴木滋倫さん

 

大手のハウスビルダーらしい安心感と、地元ビルダーらしい小回りのきく家づくりの両方を兼ね備え、身の丈に合うちょうど良いビルダーとして、独自のスタンスを歩んでいるサラサホーム。その独自性やサービスの根っこを探るべく、サラサホームいわき南の鈴木滋倫社長にお話を伺いました。


「大手と地元のメリットをいいとこ取り」

−今日は取材を引き受けて頂きありがとうございました。まずは、サラサホームについて教えて頂きたいのですが、そもそもサラサホームはどのような事業展開をしている会社なのでしょうか。

サラサホームは、福岡に本社のあるハウスビルダーのフランチャイズ企業「ジャパン・コンストラクション・システム社」のグループのブランドのひとつです。無垢の木材をふんだんに使いつつ、耐震性・耐久性、デザイン性に優れた家を特徴にしていて、全国には170 ほどの事業所を展開しています。弊社は「サラサホームいわき南」という、ひとつの独立した会社として存在しています。

事業所は独立性が強く、それぞれの地域に根づいたかたちで家づくりをしています。ひとつの大企業にするのではなく、小さな事業所の集合体というイメージですかね。ですから、あまり遠くの地域の仕事は引き受けず、需要があれば、そこに新しい事業所を作って対応するというような会社です。何かあればすぐに担当者が飛んでいける距離で仕事をするということが大事なんですね。

資材の調達なども地域に根ざしています。例えば、大手メーカーですと、建築資材などは統一規格で大量に作ってコストダウンし、配送センターから現場に届けるというスタイルが主流ですが、サラサホームの場合は、地元の材木店や建材店との取引がメインで、その地域の木材をできる限り使うようにしています。

また、サラサホームは、本部に海外の建材を取り扱う輸入商社があるので、海外からデザインに合った様々な建材や住宅資材を一括して仕入れることができます。一括仕入れですのでコストも抑えられます。
地元らしい小回りの良さと、グループ会社のメリット、その両方を生かした家づくりというのは、サラサならではかもしれません。

「地域に根づき、信頼のネットワークを」

−なるほど、よくわかりました。では、働いていらっしゃる人も、本社採用で各地へ、という形ではなく地元で採用されるんですか?

はい。例えば弊社もサラサホームいわき南として採用しますから、人材はみんな地元採用ですし、こちらに生活の拠点があります。途中で転勤といったこともありません。何かあればすぐに駆けつけられますし、自分の住まいの周りにお客様がいる、つまり、一生のお付き合いになるわけです。それは強く意識していますね。

お客様のつながりもいわきに根付いてきました。そのためか、新しいお客様もやはり圧倒的にお施主同士の紹介が多いです。弊社で家を建てた方が、ご親戚や友人を連れてきてくださる。そうやって弊社で家づくりをしていただいた方のネットワークというか、コミュニティができてきたのは、地域に根付いた家づくりをしてきたおかげだなと思います。

実は、サラサホームは、モデルハウスを一軒も持たないんです。大手のように広告やPRにはお金をかけないのでそういう形になったわけですが、正直なところ、モデルハウスと実際に建てられる家の間には大きな差があると感じています。住宅展示場は、同じ敷地にライバル会社の家がありますから、ハイグレードのものを使いますし、廊下もお部屋も広く作ります。

こうしたモデルハウスは、コストの上昇をもたらすばかりではなく、イメージと現実の家の「差」を生んでしまうと思うんです。こういう家にしたかったのに実際には違った、こんなはずじゃなかった、ということが増えてしまう、ということです。
そもそも、お客様は家づくりの専門家ではありません。でも、頭の中には「こんなに家にしたい」という理想を持っていらっしゃる。そのイメージを、できるだけ実際の家に近い形で、そしてできるだけ家づくりが始まる前にイメージしてもらうこと、それが重要なのではないでしょうか。

「お客様のイメージを具現化するために」

−確かに、イメージと現実の差の問題はありますね。では、サラサホームさんでは、お施主様のイメージと、現実の家づくりの差を埋めるために、どのような工夫をされているんですか?

一言で言えば、等身大を見せるということだと思います。つまり、モデルハウスではなく、実際に住んでいる方のお宅を見せてもらうこと。あとは、カタログに載せるのも、イメージ図ではなく、実際に住まれている方の家を掲載すること。弊社の場合は常に「現実の家」を営業ツールにさせてもらっています。これが大きいかもしれません。

あとは、具体的にイメージしやすいスタイルをいくつか絞って提案するということも心がけています。例えば、今人気になりつつあるのがブルックリンスタイルの家です。家の中のデザインを店舗のように仕上げたいというニーズは増えてきていますが、お施主様は明確に「棚はこれ、床はこれ」ということが決まっているわけではなく、「なんとなくカフェみたいな家がいい」というイメージを持ってきてくださるわけです。

そんな時、ブルックリンスタイルとか、フレンチカントリーとか、和モダンとか、デザインのテイストをいくつかに分けて案内することで「そうそう、こういう感じ」という手応えを掴みやすい。お客様は流行にとても敏感ですし、我々よりもむしろ情報が速いくらいです。ですから、私たちもそれに負けないよう最新のデザインを研究しつつ、いち早く海外からサンプルを仕入れ、それを事業所に置いて提案できるよう準備をしています。

このオフィスにも様々なサンプルを用意しています。「あの時に見たあんな壁がいい」とお客様が言った時に、こういう感じのものですか?と提示できるのと、できないのとでは大違いです。お客様が思い描いているイメージをできるだけその時に見せていく。すると、納得感の強い家づくりになるのではないでしょうか。

実は、このカタログ、写真を撮影するのはサラサグループのスタッフです。グループ内に、写真の撮り方を学ぶセミナーや写真のコンペ、さらに、新しいデザインや、最新の家づくりのトレンドを学ぶ勉強会があるんです。その辺りにも、グループ企業の良さがあるような気がしますね。 

白を基調に清潔感のあるカントリースタイルを表現「公園前のフレンチカントリー」

 


カフェのような家を希望した建主様も大満足の「大屋根のプロバンス風の家」

「ゼロエネ住宅への考え」

−もう一つ伺いたいのは、性能の部分です。性能についてはどのような考えがあるのでしょうか。
まず特徴的なのがTD工法という、在来軸組工法とパネル工法を組み合わせた独自の工法です。わかりやすくいうと、パネルで剛性を確保する面と、軸組で可変性や通気を確保する面、二つを活用するということです。

軸組の場合、大きな窓を作ることもできるし、間取りも変えやすいのですが、強い揺れがかかると「筋交い」の接続部分に大きな力がかかってしまいます。一方、パネル工法は壁で支えますから揺れにはかなり強いのですが、通気性が確保できず、パネルに湿気などがたまりやすい。ですので、それぞれの長所を重ね合わせようというわけですね。

もうひとつ、標準装備ではありませんが、大学などと共同研究してきた「J-NVA」という制震装置を採用しています。地震の振動エネルギーを熱のエネルギーに変換し、その熱を待機中に発散して消滅させるという技術です。こうした最新技術を採り入れることができるのも、グループ企業ならではのものだと思います。

高気密高断熱の住宅もお施主様のオーダーに応じて対応しています。今はゼロエネルギーハウスへの注目も集まっていますね。ただ、そこで意識するのは、なんのためにゼロエネルギーハウスにするのかということ。太陽光発電のパネルをたくさん乗せて、日中の電気代が高いときも床暖房を動かし続けて、というのでは本末転倒です。

効率のいい暖房をきめ細やかに提案しつつ、木材や自然素材の良さも取り入れながら、全体の快適性を高めていくよう心がけています。そして、大事なのは、現実的なところまで坪単価を抑えていくこと。今、話を詰めている新築住宅もフル装備のゼロエネルギーハウスですが、坪単価は60〜70万円でおさまりそうです。

「背伸びせず等身大の家づくりを」

−先ほど社長から「等身大」という言葉がありましたが、まさにその言葉こそ、サラサホームいわき南の家に通底するイメージだと感じました。質を下げるということではなく、余計なところにコストをかけず、本質的なところに力を注ぎ、現実的な提案してくれる、という意味で「等身大」ということなのですが。

日々のコミュニケーションも、お施主様にできるだけ寄り添うことを大切にしています。家づくりで起こりがちなのは、コミュニケーションの不備がもたらすものがほとんど。お施主様はこうだと思っていたのに、こちらはこう受け止めてしまったとか。ですから、できるだけ打ち合わせではしっかりと議事録を残したり、コミュニケーションから起きるトラブルをなくそうと心がけています。

私たちよりグレードの高い家はたくさんありますし、デザイン性に優れた家もあるでしょう。ですから、サラサホームは家づくりの選択肢のひとつとして頭に入れて頂く、ということでいいと思っているんです。弊社は、先ほども言ったようにモデルハウスがありません。定期的に新築物件の見学会を開催していますので、ぜひお越しください。

会社名:有限会社サラサホームいわき南
所在地:〒971-8162 いわき市小名浜花畑町10-7
代表取締役:鈴木滋倫
TEL:0246-53-6656
E-mail:shim2007@waltz.ocn.ne.jp

主な事業内容:住宅の設計および施工
事務所・店舗・商業施設等の設計及び施工
その他、増改築・リフォーム・建物補修等


文・写真:小松理虔(ヘキレキ舎

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