建築学科出身のご主人は、自分の家づくりを考えはじめてから最新の家づくりをさまざまに調べ、できるだけエネルギーを使わないで快適に、そして自然を感じながら暮らしたいと断熱性能など基本性能が高い住宅に興味を持つようになりました。「断熱性能や基本性能の高い家を希望しましたが、日本はそれ以上に湿気対策が肝心だと思います。性能を上げることで無菌室みたいな窓が少ない家もいやだったし、サーフィンをするので自然の風も感じたい。そんな気持ちを後田さんがまとめてくれました。」
「太陽光発電も考えましたが、基本スペックを最初に上げて、あとから余裕ができたら買えばいいと思いました。」とご主人。16k高性能グラスウール120ミリと硬質ウレタンフォーム50ミリの2つの断熱材を組み合わせたハイブリット仕様でQ値=1・3と超高断熱化を実現、冬もエアコン2台で家中が均等にあたたかく、一度暖まると快適な温度を長時間キープするので電気代も安く上がったそうです。長期優良住宅先導モデルの認定も受けています。
インテリアは奥様が北欧のシンプルな家具がお好みだったので、床は明るい無垢のカバザクラで統一、建具もシンプルなデザインとし北欧家具を引き立てています。共働きでお忙しいご夫婦ですが、お互い家事がしやすく、ご主人の趣味のスペースも十分に、子供たちは1階でも2階でものびのびと暮らしを満喫できる家です。
ー1階パブリックスペースー
カバザクラの無垢フローリングで子どもたちものびのび。リビングのサッシの外は公園なのでさり気なく目隠しも。
間接照明を生かした玄関。右側はどこでもつかめる手すりです。玄関の左脇には帰ってすぐ手洗いできるコーナー。
リビング隣はフリースペースとして使います。ピアノもあるのであえて和室にはしませんでした。
お子さん2人が描いてくれた「てっちゃんえ おうちとてもたのしいよ」の絵。うれしいですね。
2階プライベートスペース
2階階段上がってすぐのフリースペース。夜はここで読み聞かせをしたり一緒に遊んだり宿題をしたりと大活躍。収納用ロフト付き。
今は一緒に使っている子供部屋。IKEAの家具ですっきりと(写真)。2階にお風呂と洗面を配置。奥はCDラックを小物入れに転用(写真右)。
ベットヘッドに本や小物を置くスペース、照明は一人一人にスイッチなど細かい配慮。
主寝室には南北に風が吹き抜けるプライベートベランダを設置。お風呂上りの夜のビールが最高、とご主人。
外観とエントランス
南側に大きな公園があり開放感があります。プライバシーを確保するため採光をさえぎらない程よい木の目隠しを配置。
玄関前には収納、そして大きな屋根つきのエントランスポーチ。サーフィンやキャンプ道具の手入れに便利。
テツオの家づくりモノローグ
東日本大震災と原発事故による電力不足への懸念から、これからの住まいには今まで以上に高い省エネ性能が求められるようになっています。
最近はとにかく太陽光発電の設置が多くなっていますが、余剰電力の買い取り価格が国により高く設定されているので、結果として光熱費がお得になるという仕組みです。Mさんは後付けできる太陽光発電はもっと効率が上がり価格も安価になってから設置することもできるので、その前にまず住まいそのものをとことん高断熱化して、冷暖房にかかる電気の使用量を最小にしてかつ快適に生活したいというお考えでした。
後田工務所では今までも住まいの高断熱化に努力してきましたが、話し合いの結果M邸は北海道レベルの高断熱性能より上の性能で設計する“超省エネ住宅”とすることになりました。日本の4人家族の月平均光熱費が約14000円ですから、その半分以下の光熱費を目指しています。ただし断熱性能を上げれば上げるほど夏の暑さ対策が重要になりますので、夏の日射の遮蔽や通風の計画、熱気抜きの設置など適切に対処して、冬も夏も快適な生活ができるように工夫しています。
M邸は、省エネの実現を高価な設備や制度に頼るのではなく、“断熱性能を高める”という住まいの基本をシンプルに追求することで、今まで以上の快適と省エネを実現したこれからの住まいのひとつの形です。