水屋も備えた本格的な茶室のある住まいが竣工しました。ご夫婦が、老後も住みやすい平屋の住まいを計画。今回は、茶道を習われている奥様のご要望で、裏千家の茶室も併設されています。
こだわりの住まいをつくるために、1年以上プラン打合せを行いました。竣工までに約3年間のプロジェクト。お施主さんのこだわりが各所に反映されています。
茶室など和の造作は、お施主さんのこだわりが沢山あります。また、大工さんの技も随所に発揮されています。茶室、和室などにご興味がある方は、ご連絡ください。WEB公開していない資料や写真をご案内いたします。
環デザイン舎 北瀬幹哉(写真・文)
建主様との出会い
ハウスメーカーでプランを検討されていましたが、うまくまとまらなかったとのことで、住まいの相談を受けたことから設計が始まりました。
建主様からのご要望
・茶道を習っている奥様は、茶室、水屋、茶道具を収納するスペースもある本格和室を設えたい
・茶室は、客間や将来的には両親との同居にも対応できるように
・将来を考えバリアフリーの平屋としたい
・リビングに書斎コーナーと書斎部屋もほしい
設計・施工のこだわり
・お施主さんが忙しいことと遠方だったため、約月1回の打合せを1年近くかけて設計しました。間取りや各部屋のつくりをじっくりと打ち合わせ決めていきました。
・茶道にあった茶室のプランニングや収納等が必要でした。茶道の経験がなかったので、自ら茶道を習い、茶室調査に各地へ旅し設計へ反映させました。
・茶室まわりの床柱や框等の銘木は、銘木店へお施主さんと出向き、一つづつ吟味しました。
・和室に慣れた大工さんだったので、工事中はお施主さんの要望も踏まえ納まり等検討しました。WEB上にはUPしていないこだわりが随所にあります。
・リビングダイニングの天井や床の無垢板、キッチンカウンターの無垢一枚板は、正木屋材木店で現物見て選定しました。
・収納の多い設計です。各部屋ごとに収納を設置し、棚も部屋に応じて変えています。パントリーは、野菜など保管しやすいよう、外気温とできる断熱構成としています。
和を感じる玄関
玄関に面する建具は、杉無垢板框戸。和な雰囲気高まります。当初は練り付け建具の予定でしたが、仕上がってくると、杉無垢板の方が雰囲気合う、ということで変更。建具屋さんに作り込んでいただきました。
隣接する玄関クローゼットには、断熱ポストを設置。ペアガラス窓で断熱しつつ、郵便物を確認できる仕掛けです。
リビング・ダイニング
リビングダイニングは、3Dで検討しながら設計。現場でも状況見ながら変更しています。天井高を30cm高くしました。TVまわりの家具は、造作を取りやめ、置き家具で他の家具と調度をあわせたものを選ぶことへ。建具のデザインも、スリット窓付きへ変更。
栃一枚板のキッチン
キッチンとダイニングの間には、造作の収納家具をつくりました。その際に、カウンター部分は、無垢板を採用。造作家具の中に無垢板があると、自然素材のカタチが柔らかい雰囲気をつくってくれます。
一枚板選定時の様子(正木屋材木店)。
水屋を備えた茶室
茶室は8畳間。床の間脇の収納は仏壇にもなる予定です。客間的な使われ方なども想定しています。畳は茶室用の京間サイズ。畳屋さんも茶室の畳がつくれるところへ依頼しています。各種釘の位置も現場で見ながら確定していただきました。
床柱や框などは、お施主さんに銘木を厳選いただいたものを使っています。和室や茶室の造作経験ある大工さんが担当してくれました。細部までしっかり作り込んでいます。床の間の脇には、目立たないようなTVコンセントも隠してあります。水屋の造作では、先代におさめ方を聞いて加工した部分もあるくらいです。大工技術の継承もありました。
茶室に隣接する畳の間は、水屋でもあります。襖紙は、お施主さん厳選のもの。まだ新しい畳の緑色とグレーの襖紙の色味がいいバランスです。水屋は、水屋造作材専門の会社数社とやり取りしながら、モノを選定。お施主さんが使いやすい寸法としています。畳の間は、南側で日当たり良い場所なので室内物干しスペースも兼用。天井にホシ姫サマ設置。