今回の家づくりの主役は、3人のお子さまを持つご夫婦。お母さまも一緒に住むことが可能な「半2世帯住宅」をと、江尻建築さんの門を叩きました。完成したのは、1階と2階の天井高で雰囲気と用途を分けるメリハリのある総二階の家。江尻建築さんの代名詞である自然素材もたっぷり使われ、心地よい自然派のお住まいとなりました。
家族が集まる1階。リビングの南側には、奥様のリクエストの大きなウッドデッキが。「夏はデッキに置いたプールで子どもたちを遊ばせたかったんです」と奥様。軒が大きく伸びたこのウッドデッキが芝生の庭とリビングをつなげ、リビングの活用の巾を広げています。1階は吹き抜けなどを設けず、天井には杉の羽目板を貼り、落ち着いた団らんの場としました。
手洗いやお風呂など水場への通路の両側には、天井まである高さの収納をしつらえました。生活に必要なものはみんなここにしまえるので、リビングには余計なものを置く必要がありません。しかも収納自体がリビングからは目に入らないためスッキリとした印象に。
空間を広く見せるもうひとつの工夫が、木質材料の配置。床にはヒノキの節有り材を、天井にはスギの無節の羽目板を使うなど見た目のメリハリを意識。「木目を計算して材を合わせられるのは、昔ながらの大工さんならでは」と江尻建築の江尻さん。技術があってこその空間の妙。
2階に上がるとパッと視界の変化が。子どもたちが空間をより広く使うため天井は作らず、屋根裏の駆体をあらわしにしています。この空間を活用して、子供部屋にはロフトタイプの収納を作りました。こうして空間づかいを工夫することで、2階に3つの子供部屋、主寝室、そして共有スペースを作ることができました。
「長く賃貸住宅で暮らしてきた施主様でしたので、木の家で過ごす安らぎを感じて欲しかった」と語る江尻さん。通常の木造住宅に使われる2倍の量の木材が使われ、長期優良住宅クラスの耐震性と安らぎのある空間を両立させました。この体感的な空間の広さ、そして安心感は、「木材を巧みに使いこなす技術」によってもたらされているのです。
床にはヒノキの無垢材、天井にはスギの無節の羽目板を。天井の白い部分は調湿性にすぐれる土佐和紙を貼っている。壁はもちろん漆喰と、江尻建築さんの代名詞でもある自然素材ですべて仕上げてある。
階段脇の浴室へと続く通路の両脇にたっぷりとした収納スペースを。奥行きは短いものの、天井までの高さがあり収納性は申し分ない。
リビングのすぐ脇には、高齢のお母様の居室である和室が。畳で転げ回れるので、子どもたちの遊び場にも。
2階への階段をあがったところには、旦那さまの書斎を兼ねた共有スペース。天井も高く随所に梁が見え、広々とした空間を感じられる。
逆側から。子どもを主体に考え、伸びやかさを感じる2階。
2階の洗面台はタイル張り。
2階主寝室。家族5人がここでみんなで川の字になって寝る。壁は漆喰。結露を防ぎ、調湿性に優れる。
勉強中のお兄ちゃんのお部屋にお邪魔。帖数は6帖で、ロフトでさらに上方向に空間が広がっている。
子どもたちのお気に入りのロフト。ロフトの下部も収納になっているので、部屋の中に余計なものを置かずに済み、部屋も広く使える。
玄関には土間収納を広く取り、さまざまなものをしまえるように。
広々とした芝生、ウッドデッキ、そしてリビングがつながる庭。いつも子どもたちの声が響く。駐車スペースとの間に敷かれた枕木もおしゃれ。
白と木部がアクセントで使われているためか、黒い外壁でも重苦しい印象にならず、すっきりとした印象の外観。長期優良住宅クラスの断熱性能も持ち合わせており、冬でも寒くない。